土地を新たに取得したときに避けては通れない「名義変更」。
不動産を購入する際には、不動産会社が介在するため一連の流れで当然のように名義変更登記をしますが、相続や贈与の場合は不動産会社が仲介しません。
名義変更の手続きは、自ら積極的に行う必要があります。
全ての手続きを自分ですることが大変な場合は、司法書士などの専門家に依頼しましょう。
依頼すべきか自分でもできるかは、ご自身のお仕事や生活状況、取得する土地や必要書類、他の権利者の存在や意向なども影響するため、一概には言えません。
以下でご説明する内容を参考に、自分で土地の名義変更をするか検討してみましょう。
土地の名義変更をしないといけない場合は
土地や建物、マンションなどの不動産を買い受けたときや相続したときなど譲り受けた場合は、法務局で登記されている土地の所有名義を変更しなければなりません。
引き続き同じ家で生活していても、できるだけ早く名義変更を行う必要があります。以下で名義変更が必要になるケースを見てみましょう。
相続による名義変更
名義人である被相続人の死去にともない、土地や家を相続した場合、この日までに名義変更しなければいけないという期限はありません。
しかし、名義変更していないと、死後何年経過してもなくなられた名義人の名で固定資産税の支払い通知が発送されます。
名義人は亡くなられているため、実際に支払うことはできませんが、納税の義務は相続人に賦課されます。
名義変更しないで放置していると、他の相続人が勝手に共有名義で登記をして、持ち分を第三者に売却してしまうおそれもあります。
遺産分割協議をしないで家や土地を共有のままにしておくと、将来売却したいときや活用したいときには、共有者全員の同意が必要になります。
さらに相続登記を行わず名義を被相続人のままにしていると、将来、次の相続が発生したときに相続の手続きを進める妨げになります。
そのため、期限はなくても相続の際の名義変更は速やかに手続きを行う必要があります。
被相続人が亡くなってから相続登記をするまでの流れは、以下の記事をご覧ください。
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両親からの贈与や離婚による財産分与
両親から土地を譲り受けたい場合、贈与を理由に名義変更を行いましょう。
贈与後に名義変更をしておかないと、名義人が亡くなった場合に土地を相続財産とされ、遺産分割の対象になってしまうおそれがあります。
また、贈与を理由に不動産の名義変更をすると贈与税がかかりますが。また、相続時精算課税制度を利用すると、累計贈与額が2,500万円までなら生前贈与で支払う贈与税をなくすことができます。
ただし、2,500万円を超える部分においては、一律で20%の贈与税がかかります。
また相続時に贈与分が繰り入れられて、まとめて相続税が課税されるので「完全に無税になる制度」ではありません。
離婚した時の財産分与で、土地を夫から妻へと財産分与された場合にも名義変更が必要です。
名義変更を行わないと売却や担保の設定ができませんし、後に以前の配偶者から権利主張をされてややこしいトラブルになる可能性もあります。
原則、離婚での財産分与の際には贈与税は課税されませんが、長年に渡り名義変更をせずに放置した後で名義変更すると、贈与とみなされて贈与税が課税されるおそれもあります。
贈与が成立したら、すぐに登記を行いましょう。
売買による名義変更
不動産を購入、売却した場合も速やかに名義変更が必要です。
売買契約が終わって引き渡しを受けても、名義変更をしていないと、不動産が自分のものでもあることを第三者へ主張できないからです。
売買契約を不動産会社の中華によって行った場合には、名義変更も当然のように行われますので、注意は不要です。
一方、個人売買の場合、自分たちで名義変更をする必要があります。
土地の名義変更は自分でできるのか
土地の名義変更を簡単にいうと、登記事項証明書に記載されている所有者の名義を変更することです。
委任状を用意すれば、司法書士に依頼して変更してもらうこともできます。
専門家に任せることで時間に余裕ができ、間違いなく手続きでき便利な一方で、費用がかかることがデメリットです。
節約を考えれば自分で手続きすることをおすすめしますが、現実的に可能なのでしょうか。
自分で土地の名義変更はできる?
自分で土地の名義変更をする場合は、書類を揃えて法務局の登記所で手続きします。
その土地を管轄する法務局でなければならないため、たとえば東京の登記所で北海道の土地を登記することはできません。
まずは、所有する土地がどこの管轄になっているのかは事前に確認しましょう。
名義変更の手続きは、直接法務局に行かなくても郵送やオンライン申請でも登記ができます。
自分で名義変更をするリスク
土地の名義を変更すると、資産である土地を贈与したことになるため、一般的に贈与税や不動産取得税が発生します。
資産価値のない土地であれば贈与税が高額になる心配はありませんが、資産価値が高額となる不動産の場合は注意が必要です。
法務局で名義変更登記をする際、贈与税に関する説明を受けることが少なく、後日忘れた頃に税務署から多額の贈与税支払い通知がくることもあるようです。
そのため、自分で登記の手続きを行う際には、贈与税の額や登記に係る費用などがどれくらいかかるのか、事前に確認して準備しておきましょう。
専門家である司法書士なら、名義変更後に発生する諸費用等の説明もしてくれますし、特例制度などを使って贈与税の節税にも考慮しながら手続きをおこなってくれます。
司法書士に名義変更を依頼するメリット
司法書士が土地の名義変更を行う場合、まず不動産の登記がどのような状態になっているのか調査を行います。
土地が祖父名義のままであったり土地と建物が違う名義人だったり、登記事項証明書をみると予想と異なるケースも多々あります。
そのため、まず登記事項証明書で現在の所有者を確認し、私道部分の権利なども含めて確認してから登記の手続きを進めます。
また、相続による名義変更の場合、複数の相続人がいるケースや過去に名義変更しておらず3世代前の曽祖父名義のままなどのケースがあります。
土地の名義変更がされていないと、遺産分割協議も行われていない可能性が高くなります。
複数の相続人が遺産を相続する場合には、遺産をどのように分割して誰が相続するのかを、相続人全てで決めて遺産分割協議書を作成する必要があります。
名義変更がされていない土地の場合には、すべての相続人を洗い出し遺産分割協議書をして、遺産分割協議書にサインしてもらわないと登記を進められません。
これらの手続きは、個人で行うと時間も手間もかかり、平日仕事で忙しい人にはこの作業は難しいでしょう。
司法書士に登記を依頼すると、これらの煩雑な手続きも確実に行ってもらえます。
依頼する司法書士の選び方
司法書士に登記を依頼すると手間を省けますが、誰でも良いという訳にはいかないでしょう。
選ぶ際にチェックしたいのは、不動産関係の手続きが得意かどうかです。
司法書士の方にも分野によって、得意不得意があります。
どの分野に力を入れているのか、どんな分野が得意なのかその事務所の実績などを見て判断しましょう。
料金に関しては、司法書士が各人で決められるため、金額にばらつきがあるのが現実です。
一概に高いから良い、安いから良いとは言えません。
なお登録申請はオンラインでも申請できますので、申請する土地と同じ場所の司法書士事務所でなくても問題ありません。
司法書士の方と何度かやり取りなども発生しますし、できれば、名義変更の他にも売却や相続で問題が出た際には、再度お願いしたくなることもあるでしょう。
知識はもちろんですが、話しやすい・相談できるといった相性は重要です。
依頼する前に価格や必要な手続きを確認するとともに、電話やしたり直接会ったりして相性を確認しましょう。
土地の名義変更にかかる税金
名義変更にかかる費用は以下のとおりです。
相続による名義変更の場合、旧所有者の出生から死亡までの経歴がわかる戸籍謄本を添付する必要があります。
結婚離婚、本籍地の移転などがあれば、転籍先から追加で戸籍謄本を取り寄せなければなりません。
個人で名義変更を行えば、以下の費用で手続きできますが、司法書士に依頼すると報酬手数料がかかります。
司法書士事務所によって、すべての費用を含めセット料金として提示しているところもあります。
また名義変更には、登録免許税などの税金もかかります。
名義変更にお金をできるだけかけたくない人は、自分で名義変更する方法も検討の余地があります。
相続 | 贈与 | 離婚 | |
---|---|---|---|
登録免許税 | 固定資産評価額×0.4% | 固定資産評価額×2% | 固定資産評価額×2% |
登記事項証明書 | 不動産の筆数×600円 | ||
登記原因証明情報 | 戸籍謄本・1通450円 除籍謄本、改正原戸籍謄本・1通750円 | 贈与契約書 | 戸籍謄本・450円 |
新所有者の住民票 | 約200円 | ||
印鑑証明書 | 全相続人×約200円 | 旧所有者・約200円 |
共有名義にする場合の費用
共有名義にする場合も申請自体は1件分になるので、各費用は単独の場合とほとんど変わりません。
司法書士への報酬手数料も同額です。
登録免許税なども共有名義者間で折半すれば、個人で登録するより安くなるでしょう。
ただし、住民票や印鑑証明などは名義人1人ずつ必要になります。
自分で土地の名義変更をする手順
ただ、戸籍謄本などの収集は手間がかかりますし、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議書に全ての人の署名が必要なため、書類の作成に時間がかかります。
分からないことがあったら法務局へ相談しながら進めていきましょう。
【土地の名義変更①】法務局に相談に行く
まずは、法務局に相談です。
Webや本で調べても分からないことなどあると思います。
法務局で相談をし、分からないところを潰していきましょう。
基本的に予約制になりますので、事前に電話をし、相談枠を予約します。
その際、持参した方がいい書類や持ち物なども相談しておくと、スムーズに進むでしょう。
相談時間は20~30分です。
次の予約がある場合は、相談途中でも打ち切られてしまいますので、事前に聞きたいことや書類を整理しておきましょう。
【土地の名義変更②】市役所で書類を集める
市役所などで必要な書類を用意しましょう。
元所有者が亡くなられているときは、元所有者の生まれてからなくなるまでの戸籍謄本が必要です。
遠方の場合は郵送での取り寄せが可能です。
書類が手元にないと申請ができないため、諸々の書類を集めることを優先にしましょう。
【土地の名義変更③】戸籍謄本を読み書類作成
相続の場合は取り寄せた戸籍謄本をもとに、相続関係説明図を作成します。
戸籍謄本は自筆であったり旧字体のものがあったりと、解読が難しいものもあります。
それを解読しながら提出書類を作成し、土地相続の方法に関して遺産分割協議を行い、他の相続人と合意することも必要です。
【土地の名義変更④】法務局に提出
最後に登記申請書を作成し、添付書類をつけて法務局に提出します。
訂正がある場合は、法務局から連絡がきます。
この流れを経て、無事手続き完了です。
無事に名義変更ができたら、法務局から「登記識別情報」が発行されます
登記識別情報は、昔で言うところの「権利証」で、土地を売却する際などに必要となるため、紛失しないようにしましょう。
発行された登記識別通知に登記名義人が記載されていますので、そちらで名義が確かに変更されているかを確認しておきましょう。
司法書士に土地の名義変更を任せた方が良いケース
自分で名義変更をすることは可能ですが、状況によっては素人では難しい、手間がかかる場合があります。
そういった場合は、司法書士に任せた方が安心ですし時間的コストも削減できます。
ここでは司法書士に任せた方がいいケースをいくつか紹介します。
遠方の土地で書類の準備が困難な場合
土地の名義変更自体は郵送によって可能であるため、遠方の土地であってもわざわざ管轄の法務局に出向く必要はありません。
戸籍謄本等の書類も郵送してもらうことが可能です。
ただ、郵送でのやり取りが多くなることで書類の準備に労力と時間が非常にかかります。
遠方の土地であれば簡単に登記所へ相談に行けない場合も多いため、最初から司法書士に任せたほうがスムーズ進めることができます。
書類が古い場合
現在「登記事項証明書」という名前になった書類は、以前は「登記簿」で、手書きで作成されていました。
また、戸籍謄本も古いものであれば手書きのものが残っており、旧字体が含まれているなど、判読しづらいこともあります。
取り寄せた書類の解読が難しそうであれば、プロである司法書士に依頼することが無難でしょう。
離婚による財産分与
離婚による財産分与の場合は、基本的に専門家へ依頼することをおすすめします。
当事者間で手続きするとなれば、離婚した相手と頻繁に会わなければなりませんし、手続きに不備があれば何度も繰り返すことになります。
財産分与全般に関わる離婚協議書などの作成もあるため、一貫して司法書士に任せたほうが良いでしょう。
共有名義から単独名義
夫婦共有名義の住宅を単独名義にする場合も、司法書士に依頼したほうがスムーズです。
登録免許税は、住宅分の評価額ではなく共有分の評価額となることなど、複雑な手続きが必要になり、自分ですると間違いが発生しやすいからです。
特に、離婚による単独名義への切り替えの場合、第三者に依頼して進めていくことがおすすめです。
土地の名義変更に必要な書類と期間
土地の名義変更を自分でする場合に必要な書類を確認しておきましょう。
とくに相続に関しては書類の数が膨大であるため、漏れなく用意しなければなりません。
また、名義変更後に土地を売却する予定がある場合には、手続きにかかる目安となる期間も知っておくと便利です。
基本的には郵送手続で完了できますが、各種書類の手続きのために役所に行かなくていけない場合もあります。
ここでは、土地を取得する状況別に、必要な書類を見ていきましょう。
管轄の役所の開館時間に動けるかどうかも考慮しましょう。
相続
相続の場合、1人しか相続人がいない、あるいは遺言書で明確に「土地や建物を相続させる(遺贈する)」などと書かれていたら、手続きはしやすくなります。
しかし、相続人が複数いて遺産分割協議をした上で相続となる場合、遺産分割協議書の作成が必要となります。
遺産分割協議を成立させるには、相続人が全員合意しなければならず、数カ月はかかるでしょう。
書類集めや手続きだけでも、数週間程度はかかります。
必要書類は下記の通りです。
- 故人の戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本
- 故人の住民票の除票
- 相続人全員分の戸籍謄本と印鑑証明書
- 新たに名義人になる人の住民票
- 固定資産評価証明書
- 権利証書(登記識別情報)と納税通知書
- 遺産分割協議書または遺言書
- 相続関係説明図
贈与
親子間の贈与や夫婦間での名義変更なども贈与にあたります。
贈与の場合、相続よりも高い税金がかかるケースもあるため、事前に税務署で確認をしておくと良いでしょう。
贈与契約書の作成も必要ですが、これはフォーマットに則れば簡単に作成できます。
全ての書類が揃っていれば、郵送による手続きでも2週間あれば完了するでしょう。
必要書類は下記の通りです。
- 登記識別情報通知
- 印鑑証明書
- 新たに名義人になる人の住民票
- 固定資産評価証明書
- 贈与契約書などの贈与を示す書類
ただし、生前贈与によって得た不動産があると、遺産分割協議で揉める原因になりやすいものです。
たとえば兄弟の父が亡くなり、他に相続人はいないケースを考えてみましょう。
遺産は現金で1,000万円でしたが、一方で兄は父の生前に2,000万円の土地を贈与されていました。
本来であれば、その土地を含めた3,000万円を兄弟で2等分できたはずです。
それにもかかわらず、現金1,000万円を半額ずつというのは、弟としては納得しがたいでしょう。
このような場合、弟が生前贈与を「特別受益」と主張してトラブルになる例が多々あります。
このようなトラブルのリスクがあるため、将来の相続人を抜きにして生前贈与の話を進めるのは得策ではありません。
事前に関係する親族の了解を得てから、贈与を行う方が良いでしょう。
財産分与
離婚による財産分与の場合、名義変更そのものよりも離婚協議に時間がかかります。
土地を売却して現金を夫婦で分ける場合でも、売却手続きに手間と時間がかかります。
財産分与の請求権は2年間でなくなってしまうため、弁護士や司法書士に依頼してスムーズに進めることがおすすめです。
自分で行う場合の必要書類は下記のとおりです。
- 登記識別情報通知
- 固定資産評価証明書
- 印鑑証明書
- 新たに名義人になる人の住民票
- 離婚協議書などの財産分与に関する書類
- 戸籍謄本
土地の購入
土地を他者から購入して取得する場合には、不動産会社に相談しながら進めるのが通常です。
土地売却における、買主へ所有権の移転登記も同様です。
ただし「紹介された司法書士」にそのまま依頼する流れになることが多いため、自分で手続したいときには別途相談が必要です。
いずれにしても1~2週間を見込んでおけば問題ありません。
基本的には必要書類も取り寄せやすいものばかりであり、売買契約書の作成も仲介の不動産会社が行うことがほとんどです。
- 登記識別情報通知
- 固定資産評価証明書
- 印鑑証明書
- 新たに名義人になる人の住民票
- 売買契約書
相続と土地の名義変更の関係
土地の名義を変更するにあたって、最も悩むのは相続の場合でしょう。
元の所有者が亡くなっている以上、相続人だけで手続きをしなければなりません。
複数の相続人がいて、遺言書も無いとなれば遺産分割協議が必要です。
今相続の問題に直面している方も将来起こる可能性がある方も、相続を上手に行うためのポイントを把握しておきましょう。
相続後の名義変更に期限はない
相続してからも名義変更せず、親など故人の名義のままにしておくことは可能です。ただし、名義変更していなければ土地の権利を主張することはできません。
名義が故人のままでも相続人には、固定資産税の支払い義務が生じます。
名義変更に期限がないとはいえ、放置すると第3者に土地を奪われるリスクなどもありますので、相続したらすぐに名義変更することをおすすめします。
土地を売却するなら名義変更が必要
親の土地を子どもが代理で売却する場合、親の委任状が必要です。
亡くなった後は委任状を作成できなくなりますので、子どもに名義変更して売るしかありません。
買主が決まってから名義変更していては遅いため、余裕をもって先に手続きを終えておきましょう。
なお、土地を売却して複数の相続人で分ける場合は、一旦誰かの名義にして売却した後で売却金を分配することが一般的です。
兄弟との共有は後から揉めやすい
相続人同士が話し合っても意見が合わず、遺産分割協議が困難になると、問題を棚上げするために土地を共有にするケースがあります。
しかし、できることならこの手段は避けるべきです。
共有状態にすると、その後に土地を売却ないし活用する場合、共有している相続人全員の許可を得なければならないからです。
また、相続人の1人が亡くなって、その子や配偶者に権利が引き継がれると、権利者の人数が増えて許可を得ることも大変になります。
共有状態で放置すると将来的に揉めやすくなるため、土地の名義人は1人に絞りましょう。
清算型遺贈という手段
「清算型遺贈」は、故人が売却代金を相続人に遺贈する旨を遺言に書いていたときに可能な方法です。
この方法を用いるときには、「遺言執行者」を定めます。
遺言執行者には、遺言に基づいて遺産を分配するために土地売却などの手続きを行う義務があります。
相続人と同じ人を指定できますが、トラブルを回避するべく、事前に司法書士等の専門家を選定すると良いでしょう。
登記の流れとしては、まず相続人全員を共有名義人にした後で、売却によって買主に名義を移転することになります。
相続人への名義変更は、遺言執行者が単独で行えますが、買主への名義変更は相続人全員の同意が必要です。
土地の名義変更前に確認すべきこと
名義変更は土地の運用の始まりです。
個人で行う場合でも司法書士に任せる場合でも、名義変更をする場合は以下のことを確認しておきましょう。
固定資産税や売却にかかる費用の問題
遺産分割にあたって一旦とはいえ名義人になると、固定資産税の支払いは名義人に通知されます。
固定資産税は、毎年1月1日時点で所有している土地にかかります。
仮に10月に相続した土地が12月に売れれば問題ありませんが、年をまたいで売れた場合には固定資産税を払わなければなりません。
売却額だけ平等に分けて固定資産税の支払いは名義人というのは不平等感が出るため、事前に話し合いましょう。
また、売却自体にも費用が発生します。
建物が老朽化しているなど価値がつかない場合には、解体費用が必要になるかもしれません。
解体費用は依頼する解体業者によって金額が大きく異なります。
そのため、解体を行う際には複数の解体業者の見積もりを取って、発注する解体業者を選びましょう。
相続人の中に借金がある者がいるか
相続によって土地の所有者が決定しても、名義変更せずに放置していた場合に問題が発生することがあります。
たとえば兄弟間で遺産分割協議が進行せず、とりあえず土地の名義変更を留保していたとしましょう。
しかし、いざ兄の名義にすることが決まり売却しようとした時、既に土地が弟に登記されてしまっていた、といったケースです。
実は、相続人の中に借金がある者がいた場合、その返済が滞っていると債権者が債権を回収するために法定相続分を確保するべく債務者名義に登記できてしまうのです。
これは法的に認められている手段ですから、登記されると他の相続人は権利を主張できなくなります。
このような事態にならないよう、名義変更の留保を検討するなら、相続人に借金のある者がいないことの確認が必要です。
被相続人が土地の名義人であるか否か
たとえば父が亡くなり母も既に他界していたため、一人息子が父の土地を相続しようとしたとします。
当然、土地の名義変更だけで済むはずです。
しかし、いざ登記を確認すると祖父の名義になったままであるということがあり得ます。
この場合、父の名義ではない以上、祖父の遺産分割をした父の兄弟たちに確認をとらなければならなくなります。
父の兄弟も亡くなっていた場合には、その兄弟たちの子孫にまで確認をとらなければなりません。
こうなると、到底自力では全ての手続きをすることが難しいため、司法書士のサポートが必要となるでしょう。
土地の売却活動中に問題が発覚したら、早急に専門家に相談して名義変更しましょう。
土地の名義変更は慎重に
土地の名義変更は取得から数日で行わなければならないものでもありませんが、放置すると様々なトラブルに関わります。
名義変更が未了であったために、売却できなくなるケースもあるため、後でトラブルにならないよう速やかに手続きを終えましょう。
書類の取り寄せは自分でできるとしても、その判読が難しかったり、時間と労力がかかったりするものです。
費用を抑えたいのであれば自分で手続きするのも良いかもしれませんが、他の権利者との関係が複雑な場合や手間がかかりすぎる場合などには、司法書士などの専門家に依頼することが無難と言えます。
司法書士に依頼する金額は幅があるため、自身の考える金額でやってもらえる司法書士を探すというのも手です。
また、売却時は名義変更を含めて信頼できる不動産会社に相談することが大切です。思わぬトラブルに発展させないよう、確認事項を忘れず、慎重に進めましょう。
運営会社 | 株式会社LIFULL | |
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運営開始時期 | 2014年 | |
対象エリア | 全国 | |
累計利用者数 | 612万人 | |
提携会社数 | 約1,700社 | |
同時依頼社数 | 6社 |