家を購入しようと思ったら、住宅ローンを申し込んだ金融機関から、登記事項証明書の提出を求められることが一般的です。
それまで、登記事項証明書には縁がなかったという人も多いため、どのように取得すれば良いのかわからないという場合も多いことでしょう。
この記事では、
- 登記事項証明書にはどのような種類があるのか?
- 登記事項証明書の見方のポイント
- 登記事項証明書の取得方法は?
- 登記事項証明書を扱う上で気をつけることは?
の4つについてお答えしていきます。
登記事項証明書について知っておくべき前知識
まず、登記事項証明書とは、どのようなものなのかについてみていきましょう。
登記とはどういったもので、よく耳にする登記簿謄本との違いとは、どのようなものなのでしょうか。
ここでは基本的な不動産売却の手続きを含めた、4つの前知識について紹介していきます。
不動産は必ず登記が必要
まずは、登記についてみてみましょう。
登記は、権利や義務が発生するものの権利者や義務者を法的に明確にすることで、法的に保護するとともに取引が円滑に行われるようにする仕組みです。
不動産登記の場合には、建物や土地の名義が明確になっていないと、売買をしたいときに、誰と取引をしたら良いのかがわからなくなってしまいます。
また、権利者以外の人が、勝手に担保にして借金をされても困ります。そういったことがないように、登記で権利者を明確にしておくのです。
登記には不動産登記のほかに、
- 法人登記
- 商業登記
- 動産譲渡登記
- 債券譲渡登記
- 成年後見登記
- 船舶登記
などがあります。
不動産登記は、不動産登記法が適用されることによって、法的な権利に基づいた保護が約束されます。
不動産登記法については、個人の不動産を売買する際には細かく見る必要はありません。
必要な情報は、本記事にてわかりやすく解説していきます。
登記にはいくつかのケースが考えられます。
ケース1: 不動産の名義が変わったり家を新築したりした場合に登記を行う
不動産会社から教えてもらえると思いますが、家や土地を売買したり、相続や贈与で名義が変わったりした場合は、速やかに所有権移転登記を行います。
つまり、所有者が変わりましたよ、ということを国に伝える必要があるということです。
また、新しく家を建てた場合にも、所有権保存登記も行います。
口約束や売買契約書のみを行い、登記を怠ると、後々正式な権利者が誰なのかわからなくなり、トラブルにつながることがあります。
わからないことは司法書士に相談して、手続きをしてもらうことも可能です。不動産の名義が変わったときには、速やかに登記を済ませてしまいましょう。
不動産会社に仲介をお願いしていれば、かなりの確実で登記を変更する手続きも済ませれくれるはずです。そのようなきめ細かなサービスをしてくれる不動産会社に出会う方法として、不動産一括査定の利用がおすすめです。1度の簡単な入力だけで複数の不動産会社に査定を依頼でき、不動産会社の対応を比較できます。それによって確実に売ってくれて丁寧に売却をしてくれるか、見極めることをおすすめします。
運営会社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング | |
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運営開始時期 | 2001年11月 | |
対象エリア | 全国 | |
累計利用者数 | 700万人 | |
提携会社数 | 1,300社 | |
同時依頼社数 | 6社 |
ケース2: 住宅ローンを借りたら抵当権設定登記を行う
住宅ローンを借りて家を購入した場合には、その家を担保にすることが一般的です。
そのために、抵当権設定登記を行い、金融機関が家と土地を担保にしていることを登記します。そしてローンを完済した場合には、抵当権を外す登記も行います。
抵当権を設定する登記は、金融機関が積極的に行ってくれますが、外す登記はやってくれません。自分で行わなければ、いつまでたっても担保に入ったままになるため、気を付けましょう。
また、わからないことがあった場合は、司法書士に相談すれば大丈夫です。
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土地と建物それぞれに登記簿が存在
不動産には、土地と建物があります。
土地と建物それぞれに登記簿が存在するので、同じ場所であっても、土地と建物はそれぞれ登記をする必要があります。
登記する事項にも少し違いがあるため、登記するときには項目の確認が必要です。
登記事項証明書は登記を証明する書類
登記事項証明書というのは、登記記録に記録されている事項を証明するための書類です。
詳しくはあとで見ていきますが、登記された事項を全部記載したものと、一部だけを記載したものがあります。
取得するときには、どちらが必要か確認する必要があります。
登記簿謄本との違いとは
登記簿謄本を取得しに行ったら、「登記簿謄本ではなく、登記事項証明書を取得するように言われた」という声が、ここ最近上がるようになってきました。
登記簿謄本と登記事項証明書とは、どのような違いあるのでしょうか。
登記簿謄本と登記事項証明書の違いは、コンピュータで電子化されているかどうかだけです。
電子化される以前の、手書きの登記簿の写しであれば「登記簿謄本」になります。そして、電子化された登記簿の内容を、印刷したものが「登記事項証明書」です。
どちらも記載されている事項はまったく同じで、違いはありません。
手書きの登記簿は、筆で紙に書かれたもので読みにくいことが難点でした。
現在では電子化が完了して、すべてが活字で印刷されるようになったために、とても読みやすくなりました。
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不動産に関する登記事項証明書の種類
登記事項証明書というのは、登記の種類によってさまざまな種類があります。
不動産を売却する場合には、全部事項証明書を用意しておくと安心です。
しかし、マンション売買の場合は、何区何番事項証明書で十分でしょう。
申請の内容に応じた証明書を選びましょう。
不動産の登記事項証明書の種類
不動産に関する登記事項証明書の種類について、みていきましょう。
種類 | 内容 | 必要な時 |
---|---|---|
全部事項証明書 | 不動産に関する過去の登記事項を全て記載。 | 売買などによる所有権の移転や抵当権の設定の際に用いられる。 |
現在事項証明書 | 現時点で効力のある登記事項を記載。 | 企業の吸収合併や差し押さえなどの過去を知られたくない場合に用いられる。 |
所有者証明書 | 所有者の名義人や住所を記載。 | 新築や増築の際、建物表題登記申請に用いられる。 |
閉鎖事項証明書 | すでに閉鎖されており、全部事項証明書に記載されていない登記事項を記載。 | 建物の解体など、閉鎖された企業の登記記録が必要な時に用いられる。 |
全部事項証明書
「全部事項証明書」には、閉鎖されたものを除いた、その土地や建物のそれまでの登記事項が、すべて記載されています。
今までの権利関係が、すべて記載されているものになります。
家の売却、名義変更、住宅ローンの申請など、土地登記事項の確認を要する場合、これを取得すれば、どんな場合でも問題ありません。
現在事項証明書
登記されている事項の中で、現在効力を持つ部分だけが記載されているものが「現在事項証明書」になります。
過去に差し押さえがあった住宅も、その記載は省略されています。
金融機関に提出する書類など、現在の状況を確認したいときには、こちらで十分です。
ただし、現在の登記事項のみ記載されているもので良いのか金融機関に念のため、確認しておきましょう。
所有権証明書
「所有者証明書」は、現在、所有権を有する登記名義人の氏名もしくは名称、住所を証明したものになります。
閉鎖事項証明書
「全部事項証明書」「何区何番事項証明書」「一棟建物全部事項証明書」について、閉鎖された登記記録に関する部分を証明したものが「閉鎖事項証明書」です。
建物の取り壊しや土地の合併によって登記が閉鎖されると登記簿記録としては閉鎖されます。
閉鎖されたことを証明する書面が必要な場合のみ、閉鎖事項証明として発行されます。
マンションに関わる登記事項証明書
マンションに関する登記事項証明書は、以下のとおりです。
種類 | 内容 |
---|---|
何区何番事項証明書 | 登記簿に記載されている事項のうち、マンションなどの敷地権化されていない土地に関する一部の情報を記載。 |
一棟建物全部事項証明書 | マンションなどの一棟の建物に関する全ての情報を記載。 |
一棟建物現在事項証明書 | マンションなどの一棟の建物に関する現時点での情報を記載。 |
何区何番事項証明書
例えば、マンションの土地を明確に敷地権化していない場合には、土地部分の名義人がマンションの世帯数分だけいることになります。
利用世帯すべてが権利を持っている、私道の場合にも名義人が多くなります。
これらの現在事項証明書には、すべての現在の持ち主の名前が記載されます。
全部事項証明書には、それまでに引っ越したり亡くなったりした住民の名前が、すべて記載されることになります。
したがって戸数が多く、築年数の長いマンションの場合には、数十枚にも渡ることがあります。
登記事項証明書は、50枚を超えると50枚ごとに100円の手数料が掛かるため、このような場合には、自分が必要な部分だけを取得することができます。
これが、「何区何番事項証明書」になります。
請求するときには「共有者××に関する部分」とすれば、その人に関する証明書だけが発行されます。マンションの売買の際は、この何区何番事項証明書を用意しておきましょう。
一棟建物全部事項証明書
一棟建物現在事項証明書
登記事項要約書とは
不動産の所有権に関する部分は、申請のうち受付年月日と受付番号、登録名義人の氏名もしくは、名称と住所を証明します。
所有権以外の部分について、現在効力を持つ事項の中から、特に主要な事項を証明するものが「登記事項要約書」です。
認証文や作成年月日などの記載はないため、証明書としての効力はありません。
売買時に注意したい登記事項証明書のポイント
登記事項証明書は、「表題」「甲部」「乙部」の3項目に分けて説明しています。
土地の登記に関する重要な事柄が書かれてあり、土地建物の売買には必要な書類です。
登記事項証明書の内容によっては、売買契約が難しいこともあるため、あらかじめ用意して確認しましょう。
表題部にかかれている「地目」
表題部には不動産の構造や面積などの土地や建物の情報が記載されています。その中でも、土地の区分とされる「地目」を確認しましょう。
地目とは、不動産登記法によって区分判別された土地の種類です。
家を建てるところであれば「宅地」、用水を利用して耕作をする土地であれば「田」、農業用の水貯留池であれば「ため池」など23種類に分けられています。
登記されている不動産を売却する際、宅地であれば問題はありませんが、登記から数年経過している土地の場合、宅地以外の地目になっていることもあります。
土地に抵当権をつけて住宅ローン融資をしてもらうこともできないため、地目を変更登記する必要があります。
表題に書かれている地目が「宅地」になっているのか確認しておくことが重要です。
また、地目によって市街化調整区域に、「農地」や「畑」となっているのに建物が立っているということがあり、トラブルの原因になるため注意しましょう。
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甲部には登記の目的と所有者
甲部には、だれが所有しているかを確認することができます。
過去に所有権の移動があれば、その履歴も含めてすべて記載され、現在の所有者が甲部の下に記載されています。
また、土地と建物それぞの違う所有者になっていることもあります。
その場合、2人の意志確認が必要になるため、売買の際の手間になる可能性があります。
乙部には抵当権の情報
乙部には、所有権以外の権利に関することが記載されています。
抵当権や貸借権、地上権などが書かれていますが、過去にだれが抵当権を設定していたか、また、現在抵当権を設定されていないかを確認することが大切です。
また、抵当権付き土地の売買の際には、住宅ローンを設定することはできません。
抵当権を設定されている人が、ローンの返済を怠った場合、所有権が違う人になっていても取られてしまうことがあります。そのため、抵当権が設定されている場合は、抹消してもらいましょう。
困ったことがあれば、各地方の法務局に相談してみると良いでしょう。
登記事項証明書の取得方法について
登記事項証明書を取得してくるように言われても、困ってしまう人もいることでしょう。
登記事項証明書は現在、オンラインで取得することはできません。
オンラインでできるのは申請までです。
また、「所在・地番」は不動産の権利書や固定資産税の納税通知書に書かれているため、事前に確認をする必要があります。
申請方法が分からなかったり、手元に納税通知書が見つからない場合は、法務局に問い合わせをしてみましょう。
ここからは、登記事項証明書の取得方法について詳しく見ていきましょう。
登記所で取得する方法
登記所の窓口に直接出向いて請求し、その場で受け取る方法があります。
以前は、登記簿謄本を取得したい不動産の住所を管轄する法務局まで、出向かなくては取得できませんでした。
しかし、現在は電子化が完了したため、最寄りの法務局で取得することができます。
最寄りの法務局の場所は、法務局のホームページで検索することができます。
窓口で申請して受け取る場合には、手数料が600円必要です。
枚数が多い場合には、50枚ごとに100円必要です。また、印鑑をはじめとしたほかの持ち物は必要ありません。
オンラインで請求して登記所で受け取る方法
現在はオンラインで請求しても、登記事項証明書を受け取ることができるようになりました。
オンライン請求を行う場合には、「登記・供託オンライン申請システム」のページをパソコンで表示して、まずは申請者登録を行います。
任意の申請者IDとパスワードを設定したら、氏名や住所等の必要事項を入力します。
次に、登記事項証明書を請求するために必要な事項や、請求者情報を入力します。
物件の正確な情報がわからなくても、パソコンなら画面上で検索できるので大丈夫です。
スマホからも請求はできますが、物件検索はできないため、物件情報を直接入力する必要があります。
物件情報や請求者情報を入力したら、手数料の電子納付の手続きを行います。
手数料の支払いは、「Pay-easy」やクレジットカードが利用できます。
後日、受取先に指定した法務局の窓口まで出向いて、受け取ります。
待ち時間を短縮することができるうえに、ほかの2つの方法に比べて手数料が480円と、安く済むことがメリットになります。
オンラインで請求して郵送で受け取る方法
窓口まで行く時間が取れない場合には、オンラインで請求して郵送で受け取る方法もあります。
請求の方法は、オンラインで請求して窓口で受け取る場合とほぼ同じ手順で、受け取り方法だけを郵送で指定します。
この場合の手数料は、送料を含めて500円です。
書留や速達を希望する場合には、その部分の実費が請求されます。
さらに、登記所までは行けないけれど、パソコンも使えないという場合には、郵送で請求して郵送してもらうこともできます。
この場合には600円の手数料のほかに、郵送料が実費になります。
コンビニで受け取ることはできない
住民票と印鑑証明は、コンビニで受け取ることができるようになったことから、「登記事項証明書もコンビニで受け取ることができるのではないか」と思っている人もいるようです。
しかし残念ながら現在のところ、登記事項証明書はコンビニでは受け取ることができません。
登記所まで行くか、オンライン請求を利用しましょう。
詳しくは、法務局のオンライン申請の案内をご覧ください。
不動産に関する登記事項証明書の注意事項
不動産に関する登記事項証明書を取得するときには、いくつか注意点や気になる点があります。
注意点を守らないと、該当する物件情報はないということで、発行してもらえません。
その場合でも、手数料だけは取られてしまうためしっかりと記入しましょう。
地番と家屋番号は正確に
不動産の登記事項証明書を取得する場合には、土地には地番が、建物には家屋番号が必要です。
パソコンから検索できる場合には、事前に調べる必要はありません。
ただし、登記所の窓口で申込書に記入する際や、スマホで入力する際には必要なため、事前に調べておきましょう。
特に土地の地番は、住所の表記番号とは違う場合があるため、注意が必要です。
正確な情報を知りたいときには、自分が所有している物件であれば、「固定資産税の納税通知書の課税明細書」もしくは「登記済権利証・登記識別情報通知」に記載されています。
自分が所有していない物件の場合には、法務局にある「ブルーマップ」か、市区町村役場にある「住居表示地番対照地図」で確認します。
マンションはマンション名まで記入
マンションの場合には、マンションの建物の名前までしっかりと記入しましょう。
住所を書くときに、番地の下に部屋番号を書く癖が付いていると、ついマンション名を抜いてしまうことがあります。
しかし、マンション名が記載されていなければ、該当物件無しということで、発行してもらえないため注意が必要です。
法的な有効期限はない
登記事項証明書の有効期限は、どのくらいなのか気になっている人もいるようです。
通常、金融機関などから提出を求められる場合には、「3カ月以内に発行されたもの」という条件があることが普通です。
しかし、登記事項証明書そのものには、法的に決まった有効期限はありません。
登記事項証明書が証明している事実というものは、発行されたその日の状況を証明しているだけに過ぎません。
したがって、それに対して有効期限は、単に利用する側が決めていることに過ぎません。
誰でも取得することが可能
登記というのは、権利関係を明確にすることを目的に行われます。そのため、登記の情報というのは公開された情報になるため、登記事項証明書は誰でも取得することが可能です。
免許証などの身分証の提示も必要なく、手数料のみで取得できるため、悪用されることを心配する人もいるようです。
所有者の名前と住所が公開されている点で、個人情報の漏洩を心配する声があることは事実です。
ただし権利証とは違い、証明書というのは、登記簿に記載されている事実を証明するための書類に過ぎません。
したがって、登記事項証明書だけでは、悪事を行おうとしても実行する術はないため安心しましょう。
不動産の登記に関する相談はプロに相談
家や土地の売買を行うためには、事前に不動産業者に登記事項証明書の提出を求められることもあります。
したがって、事前に実際の手順を確認しておきましょう。
また、業者を介さずに売買したときにも、必ず登記が必要になります。どの登記事項証明書が必要なのか、プロに相談するのがベストです。
登記事項証明書には、土地と建物の詳しい情報が記載されています。
登記事項証明書を申請したら、他にも必要な書類を集めるのも忘れないようにしましょう。
不動産を売却するときに必要な書類は、売却までの流れの中で異なりますし、必要な書類は不動産会社からその都度指示されるため、言われてからそろえても大丈夫です。自分でそろえなくても、不動産会社が代わりに用意してくれる書類も多くあります。[…]
運営会社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング | |
---|---|---|
運営開始時期 | 2001年11月 | |
対象エリア | 全国 | |
累計利用者数 | 700万人 | |
提携会社数 | 1,300社 | |
同時依頼社数 | 6社 |