リフォームを行う際の流れは業者にもよりますが、だいたいが決まっています。
実際にリフォームをすることになったらどういう手順で進むのか、それぞれにかかる期間やポイント・注意点と合わせて解説しますので、事前にイメージしたり、実際その手順での指針としていただけたらと思います。
リフォームを検討するならリショップナビで見積もりしよう
「リフォームをするかどうか迷っている」「リフォームをするのにいくらかかるか知りたい」そんな方はリフォーム費用を見積もりできる一括査定サイトリショップナビを使って専門家の話を聞くとよいです。リフォームによる希望を明らかにする
リフォームをするときに、不具合のある箇所を改善したいのは当然ですが、それでは数年で違う箇所もリフォームすることになるので、長期的に考えなくてはなりません。
毎回リフォームしてはそのたびに工事費がかかり、複数箇所のリフォームを同時に行ったほうが合理的です。
例えば、洗面所のリフォームを終えてから、いずれ浴室のリフォームをするとして、繋がっている洗面所にまったく手がかからないなら問題ありません。
浴室のリフォームをするために、また洗面所に変更が入るなら二度手間です。
壁紙1つとっても、将来まで同じものが用意されているとは限らないので、家全体の調和なども考えて、計画的にリフォームの希望をまとめるのが大切です。
事例を見てイメージをふくらませる
リフォームの事例は、専門誌、カタログ、Webサイトなどで確認することができ、分厚い専門誌でなければ、ほとんどお金もかかりません。
大きな図書館ならリフォーム関連の書籍もあるので、見に行ってはどうでしょうか?
ただし、事例は他人の家なので、自分の家でも同じようにできると過信せず、見た事例から自分の家ならどのようにアレンジするのか想像してみましょう。
こうしたことを考えるのも、リフォームの楽しさの1つです。
専門誌
リフォーム業界の出版社だけではなく、暮らし全般を扱う出版社がリフォーム特集をしていたり、不動産関連業者が発刊したりするケースがあります。
数百円~数千円と幅があり、2,000円程度でA4サイズの写真付きなら、情報量も解説も豊富に書かれているのを見かけます。
特集本以外にも、月刊・隔月刊・季刊の場合もあるため、一概にどれが良いとは言えませんが、リフォームの箇所が決まっているなら、特定のリフォームに特化した専門誌を探せば事例の比較が容易になります。
また、専門誌の多くには、事例ごとに設計事務所や施工会社が書かれてありますが、事例でイメージをふくらませる段階では、これらを意識する必要はありません。
特に全国誌では、地元の会社が載っておらず、依頼に実現性がないからです。
カタログ
インターネットから請求したり、施工業者に出向いてもらってきたりして収集すれば、リフォームしたい箇所のカタログを無料で集めることができます。
カタログには、建材・設備業者のものと、施工業者が配布しているものがあります。
建材・設備業者から配布されているカタログだけを見ても、施工してくれる業者がいなければできない反面、施工業者が配布しているカタログでは、取り扱いのある建材・設備が限られてくることから、自由度が失われます。
そのため、たくさん集めて比較しながらイメージをふくらませ、ある程度イメージが固まったら、施工業者のカタログで絞り込んでも良いかもしれません。
Webサイト
画面の大きさから、横並びで複数の事例を比べてみることが難しいながらも、情報量としては専門誌やカタログよりも圧倒的に豊富です。
やはり建材・設備業者や施工業者のサイトが強く、事例も豊富ですが、設計事務所や不動産のポータルサイトなどでも扱っているので、色々探してみましょう。
Webサイトの良いところは、掲載する側のコストが小さく、スペースに限りがないので、専門誌やカタログで見られない多くの事例が見られる点です。
また、地域の施工業者にホームページがあれば、具体的な選択の指標にもなります。
各部屋・設備のリフォームの検討ポイント
リフォーム対象を個別に分けて、検討したいポイントを表にしました。
キッチン
検討ポイント | 説明 |
---|---|
動線/レイアウト | I型・L型・Ⅱ型・U型・アイランド型など、料理から配膳までの動線を考えてキッチンの形を選ぶ。 |
造作/システム | 自由にデザインを決める造作キッチンと、工期や費用を抑えたシステムキッチンとの比較。 |
熱源 | ガス(プロパン・都市ガス)かIHか。IHなら200V工事も。 |
加熱器具 | コンロの口数、ビルドイン(コンロ・オーブン)の有無。 |
設備 | レンジフード、ビルドイン(食器洗浄機・食器乾燥機)の有無。シンクの深さと広さは重要。 |
収納 | ウォールキャビネット(上部)、ベースキャビネット(下部)、食器や調理器具、ゴミ箱の置き場を考える。 |
高さ | 最も使う人に高さを合わせる。設置時はキッチン下部の台輪でも調整できるが、履物や敷物でも微調整可能。 |
風呂
検討ポイント | 説明 |
---|---|
造作/ユニット | 在来工法(内装の自由度)とユニットバス(気密性)の選択。 |
浴槽 | 長さ・幅はもちろん、深さと縁の高さ、浴槽の傾斜まで考える。 |
壁・床 | 材質によって滑りやすさや水はけに違いがあり、水はけが悪いとカビの発生原因になりやすい。 |
設備 | ミストサウナ、暖房、乾燥機、ジャグジーなど必要に応じて。 |
ドア | 開き戸、引き戸、折り戸の違い。バリアフリーにするときは、浴室外への漏水対策が必要。 |
手すり | 家族の年齢と将来を考え、転倒事故に備えて動線に設置する。 |
洗面所
検討ポイント | 説明 |
---|---|
造作/システム | オーダーも可能だが、最近のシステム洗面台はデザイン性や機能性に優れているため良く考える。 |
内装 | 湿気や水はねが多い部屋なので、壁材と床材に注意したい。 |
台数 | 洗面台を2つ設ける例は少ないが、家族構成によって決める。 |
収納 | 洗面所は小物が多く、脱衣所や洗濯室を兼ねることが多いため、収納は軽視できない。 |
高さ | 低いと腰痛、高いと水垂れの原因に。家族のことを考えて。 |
トイレ
検討ポイント | 説明 |
---|---|
タンクの有無 | タンクがなければトイレが広くなる代わりに手洗い器が必須。 |
トイレの機能 | 脱臭、除菌、乾燥、暖房、節水等の拡張機能の有無。 |
収納 | 予備のトイレットペーパーや清掃用具が目に入らないように、小さくても収納はあったほうが良い。 |
換気/窓 | 換気と湿気対策が十分なら窓は必要ない。換気は臭い対策に重要なので空気の流れを考慮して設置。 |
内装 | 床は拭き掃除するので素材を考える。壁は好みだが脱臭素材も。 |
手すり | 高齢者は座るとき・立つときに手すりが必要なことも。 |
リビング
検討ポイント | 説明 |
---|---|
床材 | カーペット、フローリング、畳の選択。上に重ねることでも敷けるが、高さが変わるためリフォームのほうが良い。 |
壁・天井 | カラーコーディネートと壁紙の選択。 |
採光・照明 | 自然光を取り入れるために窓を増設する際は壁の強度に注意。リビングの照明は明るさだけではなく色も大切。 |
収納 | 絶対リビングに置くべきものは意外と少ない。壁収納は収納が増える反面、全体のレイアウトが制限されるデメリットも。 |
配線 | コンセントの位置は家具の配置を考えてから。 |
床暖房 | 温水式・電気式の違い、床暖房ユニットの設置面積の考慮。 |
玄関
検討ポイント | 説明 |
---|---|
採光・照明 | 方角によって玄関の明るさは異なる。ドアから採光するか内部の壁から採光するか照明を使うか。 |
ドア | 防犯性・断熱性・気密性の考慮。ドアだけ強固にしても防犯性は大きく上がらない。 |
段差 | 法律で地面から床面の高さは決まっている。玄関でどのように段差を解消するかは家族構成も重要になる。必要なら手すりも。 |
換気・窓 | 履物からの異臭と湿気を除去する対策。玄関だけで換気できる仕組みを考えないと、家に臭気や湿気が入り込む。 |
収納 | 履かない靴を常時置いていないか、デッドスペースをチェック。 |
床材 | 玄関は外も中も濡れる場所なので床材に配慮。 |
外壁
検討ポイント | 説明 |
---|---|
工法 | 張り替え・重ね張り・塗り替え(モルタル・塗装)の選択。 |
素材 | モルタル・サイディングの選択。職人技になるモルタルと、仕上がりにムラが出にくいサイディングボード。 |
断熱 | 張り替えや重ね張りで外壁側に断熱材を増やす方法が多い。 |
塗装 | 塗料で作られる被膜は経年劣化がある。塗り直すことで色調の変更と塗膜の強化を同時に行える。 |
屋根
検討ポイント | 説明 |
---|---|
工法 | 葺き替え・重ね葺き(スレート)・塗り替え(塗装)の選択。 |
屋根材 | 瓦・スレート・板金の選択。傾斜によって対応できる屋根材が違う点と、重さが耐震性に繋がる点も重要。 |
断熱 | 天井で断熱する場合は、屋根裏(小屋裏)で換気すると、夏の断熱と冬の結露防止に繋がる。 |
塗装 | 見た目よりも屋根材の劣化防止に必要。 |
耐震性能
検討ポイント | 説明 |
---|---|
年代/耐震性能 | 時代によって耐震基準が異なる。現行の耐震基準を満たしているか耐震診断が必要。 |
基礎 | 基礎のコンクリートに鉄筋が入っているか。ひび割れていないか。 |
壁 | 壁は横方向からの力に重要な存在。補強工事の必要性をチェック。 |
主要構造 | 柱・梁・土台など、腐食や白アリ被害の確認。 |
屋根 | 軽いほど耐震性は高くなる。軽い屋根から重い屋根にするときは、耐震基準を満たさなくなる可能性が高いので要注意。 |
相談・見積もり依頼
「どこをどのようにリフォームすれば良いのか」
「施工にいくらかかるのか」
「そもそもリフォームは本当に必要なのか」
など相談したいことも多いでしょう。
しかし、相談には施工依頼を前提とするのが通常で、相談だけ聞いてくれるような都合の良い話はありません。
ところが物は考えようで、相見積もりを取るケースでは、施工依頼する施工会社以外は、相談で終わることになり、見積もりまで取る前提なら相談に応じてくれます。
そこで、相談・見積もりの依頼先となるのですが、探し方も様々です。
ここでは、見積もりの依頼先を探す方法を解説しており、個々の会社から得られる見積もりのポイントについては、今後掲載予定です。
ネット検索で探す
リフォーム専門会社、リフォームを専門にしていない住宅メーカー、工務店、設計事務所など建設業界、受注だけする異業種までたくさんあります。
これらを幅広く探せるのも、ネット検索のメリットですが、自社サイトを持っていない業者は逆に引っ掛かりません。
それを踏まえて、地域に営業拠点がある会社を探すのですが、支店や営業所を持っている会社は、ホームページに必ず掲載しているので確認は容易でしょう。
また、評判が気になりますが、他人の評価と自分の評価は違うものですし、業者自らが好評価にする、他社の悪評を流すこともあるので鵜呑みは危険です。
カタログから探す
カタログには、単に建材・設備メーカーのカタログを配っているケースから、自社の施工事例を掲載して、自社で発行しているものまであります。
自社発行のカタログのほうが、施工実績で勝負している好印象を受けます。
カタログだけ見て、会社の良し悪しがわかるはずもなく、それはどの探し方でも同じなので仕方がありません。
気にするとすれば、建材・設備メーカーのカタログを配っている業者は、メーカーから指定業者に認定されている可能性があるので確認してみましょう。
雑誌から探す
地域が限定されていない雑誌の場合は、基本的に自分の地域で施工できる可能性が低い(大手なら営業所がある可能性はある)ので、会社名だけ控えてホームページを確認するような探し方になってしまいます。
また、リフォーム業界は、施工依頼された会社と工事をする会社が違うケース、つまり下請が多い業界でもあるので、雑誌で好印象を受けても、同じように作ってもらえるとは限りません(どの探し方でも同じことが言えますが)。
展示会・ショールームで探す
大手の建材・設備メーカーやリフォーム会社なら、展示会を開いたりショールームを持っていたりしますので、積極的に見に行きたいものです。
また、単独ではなく数社が集まっての合同展示会も開かれており、こちらのほうが一度に見比べられます(その代わりブースの広さ制限で種類は少なくなる)。
小規模な会社の場合、主催側ではなく施工業者として大手の展示会に参加していることもあるため、思いがけず地元の業者発見に繋がるかもしれません。
いずれにしても、リフォームを考え出した段階で、イメージをふくらませるためにも、展示会やショールームには積極的に足を運んでみるとよいでしょう。
紹介サービス
ネット検索を便利にするために、多くのリフォーム会社が登録して、リフォームの内容に応じた複数の会社を紹介してくれるサービス があります。
また、一括してカタログ請求や見積もりをできるサービスもあります。
こうしたサイトは、時間をかけて収集する情報が、一度に集められるので非常に便利な反面、登録されているリフォーム会社が、どのように選ばれているのか、その点も注意して利用しなくてはなりません。
独自審査で質を担保しているサイト以外に、単に登録制になっているサイトもあると考えられるため、登録基準を確認して利用することをおススメします。
現地調査
リフォームの見積もりでは、実際に現場を見てみないとリフォームにかかる工数や建材の量が判明しないため、現地調査が行われます。
現地調査には、依頼主からのヒアリング、現場の状態確認、写真撮影、使う予定の建材や設備が収まるかどうか採寸などがされます。
現地調査にかかる時間は箇所にも施工規模にもよりますが、長くて2時間を見ておけば、ほとんどのリフォームで調査は可能になるはずです。
このとき担当者と会うので、話してみて印象も確認してみると良いでしょう。
ただし、大抵の担当者は話し上手・聞き上手なので、話した感じだけで判断せずに、見積もりを検証してから決めるべきです。
希望を明確にしておく
単に「リフォームしたい」と言われても業者は困ってしまい、どこをどのようにリフォームしたいのか決まっていないと、見積もりの出しようがありません。
つまり、具体的な計画が決まる前に現地調査を依頼してしまうと、後からできない、できても値上げなどのトラブルになりやすいです。
もう1つ注意点があって、できるだけリフォームの内容に決定権を持っている人が、現地調査に立ち会うことです。
例えばある箇所を「家族と相談してみます」では、その箇所を含めた見積もりが出せず(複数プラン出してくれる業者もありますが)、二度手間になるでしょう。
マンションでは管理規約を確認
マンションには専有部分と共用部分があり、リフォームできるのは専有部分です。
部屋の内側は基本的に専有部分になるはずですが、規約によっては、ドアの内側は専有で外側は共用、ベランダの内窓は専有で外窓は共用など、細かい規定があります。
リフォーム会社が共用部分に手を加えたとしても、事前に確認しなかった施主も当然に責任を問われますから、管理規約は事前に確認して細心の注意が必要です。
目に見えない配管にも管理規約はあるのが普通で、管理規約を甘く見ないことです。
相見積もりでの値引き交渉はデメリットも
リフォームで、複数の業者に相見積もりするのは特別なことではありません。
しかし、相見積もりすることは事前に伝えたほうが、総じて良い結果を生み出します。
競合があることを知って、どう出るかは業者次第ですが、相見積もりを聞いて現地調査を断るような業者は、最初から相手にしなくて大丈夫です。
相見積もりで負ける=不当な利益の上乗せが考えられるからです。
逆に、相見積もりに勝つため、現実的ではない安い金額を出して、手抜き工事をされる可能性もありますので、競合をちらつかせて値引きを促すのも得策ではありません。
相見積もりは、妥当な見積もりを見極めるために使うと考えておくべきです。
リフォームプラン・見積もり提案
現地調査が終わり、見積もりが来るのを待ちますが、可能なら直接訪問してもらい、見積もりの結果を、施工対象と見比べながら確認するのがベストです。
郵送で受け取ってしまっては、金額だけの比較になり、施工内容の比較が曖昧になります。
これは、相見積もりでも1社の見積もりでも、基本的な考え方は同じです。
1社であれば、なおのこと見積もり内容を吟味するために、業者に説明を求め、納得してから契約することが大切です。
また、リフォームプランが複数提案されることもあり、最低でも依頼内容が含まれたプランであること、その上で望ましい付加工事がされるかどうか確認しましょう。
見積もりが来るまでの期間は、早ければ数日ですが、かんたんな工事ではなく図面を引き直すなど入れば、何週間もかかって不思議ではありません。
比較は同じ条件で
相見積もりをして比較する場合は、リフォームをできるだけ同じ条件にしないと意味がなく、違うとしても業者が扱う建材や設備の違いで起こる価格差だけです。
それ以外の工事費や人件費、諸費用等は同等にかかりますから、比較の対象になります。
また、価格差はプランの違いでも生じますが、希望している最小限の見積もりだけは出してもらい、予算の範囲内で可能な他のプランも提示してもらうと良いでしょう。
繰り返しますが、比較するためにはできるだけ同じ条件の見積りを使うことです。
契約
契約書を取り交わした時点で、リフォーム会社には請け負った工事を完了させる義務が、施主には完了した工事に対して支払う義務が発生します。
リフォームの場合、フタを開けてみたら…という事例が多いため、契約内容が後から変更されることも多いですが、それでも安易にハンコを押さないように注意しましょう。
契約内容によっては、この段階で費用の一部を支払います。
ここでは、リフォーム契約の注意点を解説すると共に、リフォームトラブルで多い追加工事について、その発生原因を探っていきます。
納得できる会社と契約する
当たり前のようなことでも、劣悪な工事でトラブルになる事例は起こっています。
見積もりを安くして受注し、手抜き工事や理由を付けて追加工事をせまる悪徳業者は、業者も当然悪いですが、金額だけで選ぶ施主にも問題はあります。
このパターンに陥るケースでは、大抵がリフォーム会社にすべて任せ、相見積もりで安い会社を安易に選ぶようなことをしています。
または、1社の見積もりだけで、疑いもせず信じている可能性もあります。
どちらにしても、見積もりのところでも指摘したように、現場を見ながら見積もり内容を業者に説明してもらい、工事内容と見積もり額を精査していれば回避しやすいです。
アフター保証はあるほうが良い
アフター保証があると、不具合が起こったときに対応しなくてはならず、それは損失に繋がるため、保証があるのに手抜き工事はしないものです。
保証で少しくらい割高になっても、万が一に備えて付けたほうが断然安心です。
不具合が起きても、瑕疵担保責任(業者側が起因の欠陥を保証する責任)を問えば済むと思っているようなら甘く、業者が認めなければ、最終的には民事裁判まで持ち込まれ、勝訴しても総合的に得はありません。
最低でも、契約書には瑕疵担保責任について書かれていることを確認し、さらに一定期間の保証まで付いていると、安心感がまるで違います。
追加工事は避けられない場合もある
リフォーム会社に悪意がないとしても、リフォームの特性上、事前契約と違う工事は避けられない面もあって、それは見た目で判断しにくい壁や床の内部でよく起こります。
床を剥がしたら土台が、壁を壊したら柱が腐っていたなどよくある話です。
しかし、例えば天井にシミがあれば雨漏りを疑ってしかるべきですし、床下にもぐって湿気を帯びていたら、土台が腐っている可能性は予見できます。
その上で、追加工事が発生する可能性を施主に伝え、程度によってどのくらいの範囲で料金が発生するのか、概算で説明しておくのが誠意のある業者です。
依頼する側としても、事前に聞かされていた内容と予算であれば、追加工事に動揺することはないので、何でも見積もりの金額できっちり終わるとは思わないことです。
予想外の追加工事は起こるはずがない?
予想外の追加工事には、業者でも発生を予見できずに、なおかつ不可避な工事もありますが、前述の通り業者は発生しそうな追加工事を、あらかじめ提示しておくのが普通です。
そうしないと、追加工事を伝えたときに、トラブルが目に見えているからです。
したがって、この場合の「予想外」とは、主に依頼する側にとってなのですが、工事してもらえるはずが工事されなかった場合、工事の必要がないと思っていたのに工事された場合のいずれでも、業者との打ち合わせ次第です。
お金に関わるだけに、自分がそう思っていたでは済まされないので、リフォーム会社とは必要な工事について十分に話し合いましょう。
悪徳業者は、後から工事を追加したいために、大抵は説明が不十分です。
最終打ち合わせ
リフォーム会社とは、契約を結ぶ前にも良く話し合うべきですが、プランの修正がないかどうか、工事に入る前に最終的な打ち合わせをしておきます。
他にも工事期間と工事時間、いつから入居できるのかなどを確認しておきます。
住みながらリフォームできない工事では、仮住まいを探さなくてはならず、その手配も考えると、契約してからすぐに工事とはいきません。
また、工事の規模が小さければ1日で終わっても、接着剤等の臭いがすぐに取れず、住むのに適さないケースも考えられます。
口約束になっている契約がないか確認
民法上の契約行為は、口約束でも有効に成立するため、打ち合わせの場でお互いが合意している内容は、文書にしていなくても守る必要があります。
しかし、どんな小さな工事でも契約書に盛り込んでおかないと、後々トラブルの種になりやすく、懇意にしていて完全に信頼できる業者以外で口約束は問題です。
工事が始まれば、不都合や食い違いが生じてもそのまま止めるわけにもいかず、追加工事に対して施主はなかなかノーとは言えません。
また、口約束で工事範囲を決めると、お互いの解釈の違いでもトラブルが起きます。
トイレの使用について確認しておこう
リフォームの規模にもよりますが、下請業者も含めて多くの職人が集まるので、トイレをどうするか確認しておくべきです。
近くの公園やコンビニを使用してもらうか、他に利用できるところがなくても、施主負担で仮設トイレを設置すれば解決します。
また、自宅のトイレを貸してあげることも、リフォームでは珍しくありません。
ただし、問題なのはトイレリフォームで、便器を新品に換えた際には、業者の使用は控えるように言っておかないと、使用済み便器で返されてしまいます。
この点は、業者のモラルとして言わなくても守ってくれそうですが、下請まで周知されるとは限らないので念押ししておきましょう。
着工準備
着工までの間に、リフォーム会社は建材や職人の手配をしますが、これらは施主が意識することではなく、施主が依頼するとしたら、行政への申請に対する協力です。
例えば、リフォームで増設等があれば建築確認申請が必要になります。
また、リフォームの補助金や助成金を受けるためには、事前申請で適正な施工業者である証明や図面を求められるので、リフォーム会社の協力が不可欠です。
他にあるとすれば、建設リサイクル法に基づく事前届出ですが、リフォームで該当することはほとんどないので、念のためリフォーム会社に確認するだけで大丈夫です。
近隣挨拶
近隣挨拶は、リフォーム会社に任せてしまわず、施主として同行するべきです。
騒音、臭い、振動、業者の出入り、車両の駐車場所などで近隣に迷惑をかける場合が多いため、事前に話があるのとないのとではまったく違うからです。
また、マンションなら両隣以外にも下の部屋、上の部屋にも念のため伝えておくほうが良く、管理組合にも必ず話を通しておきましょう。
なお、明らかに外部への影響が小さいリフォームなら、その限りではありません。
掃除・片づけ
リフォームする箇所やその周りが片付いていないと、施工業者も困るでしょうから、リフォーム前に片づけておくのは当然です。
では、内部のリフォームで掃除が必要かというと、見られて恥ずかしいレベルなら自主的にすれば良く、気にしない人はまったく気にしません。
また、外部のリフォームや玄関付近なら問題になりませんが、内部に設備を運ぶリフォームでは、設備を運ぶための通路も空間の確保が必要です。
日常生活では邪魔にならなくても、家族以外が通り、物を運ぶ通路として考えれば、自ずと片づけておくべき対象はわかるはずです。
仮住まいの準備
住みながらリフォームできるかどうかは、工事内容によってまったく異なります。
したがって、荷物の運び出しが必要かどうかも、リフォームの規模や施工場所で違い、ここでは仮住まいや荷物の運び出しを前提とします。
単身ならともかく、家族全員が仮住まいになると費用面でも大変ですし、携行品以外に持ち出しがあれば運搬も大変です。
荷物は一時的にトランクルーム等に預けるとしても、仮住まいは家族構成と工事期間によって、ホテルよりもウィークリーマンションのほうが得になるかもしれません。
工事(期間)
部分リフォームの場合、1日で終わるリフォームから2週間以上、複合した工事では1ヶ月以上も考えられます。
それぞれが単体工事でも、追加工事を含めるといくらでも工期は延びますから、参考にしかならないとはいえ、一応の目安として工期を掲載しておきます。
システムキッチンへの入れ替えだけなら3日程度、キッチン全体でも1週間程度です。
造作キッチンにしたり、キッチンの配置換え(背面キッチンを対面キッチンにするなど)をしたりすれば、当然に給排水管の変更、排気口の変更等で工期が延びます。
ユニットバスへの入れ替えは、3日から5日程度で可能ですが、在来工法から入れ替える場合は1週間~2週間、木材に腐食があればさらにかかります。
在来工法へのリフォームなら、職人と内装の造り次第で、3週間ほどはかかるでしょう。
洗面台の交換だけなら1日で終わるケースが多く、洗面所の内装変更や給排水管工事まで入ってくると、1週間程度の工期になります。
便器交換は1日で終わるはずで、内装まで含めても狭い空間のため、長くても5日あれば足り、換気扇や窓の増設となれば、1週間まで考えられます。
リビングの何をリフォームするかと広さによって変わり、フローリングへの張り替えで3日前後、床暖房を追加すれば5日前後、壁紙の張り替えは1日か2日です。
その他、壁収納や配線変更等で工期は延びていき、窓の増設はさらに延びます。
玄関のリフォームでは、ドアの場合、特別な事情がなければ1日で終えます。
これは、ドアの無い状態が防犯上許されないからで、基本的にドアだけは1日です。
土間などモルタルを使えば数日、玄関ホール全体でも1週間から2週間でしょう。
外回りの全体を変えるなら1週間でも足りず、2週間は見ておきたい工事です。
外壁工事は足場を組むことから始まりますので、どうしても工期が長くなります。
外壁同様に足場が必要で、2週間程度の工期になりますが、塗装だけなら1週間、塗装に雨漏りの修繕等を含めれば、10日程度になります。
何をするかによって、工期がガラッと変わるのが耐震リフォームです。
そして、耐震リフォームは他のリフォームと複合でされることが多く、特に工期は決まっておらず、こればかりは施工業者に聞いてみるしかありません。
工事期間中の差し入れは必要?
挨拶がないから、差し入れがないからという理由で、工事が滞ったり、いい加減な施工をしたりするのは本来あってはならないですし、まともな業者ならありません。
しかし、工事している職人への挨拶は人として大切なもので、休憩時に差し入れがあれば、やはり人ですから好意的に受け止めます。
また、施主がいるとやりにくいと感じる職人がいる反面、判断に困る部分で質問できる利点もあって、総合的には差し入れが悪いほうに働くことはなく、無理をしない程度で可能な限り顔を出すと良いでしょう。
引き渡し
引き渡し時は、設備の仕様書や保証書を渡される以外にも、トラブル防止のために完了確認書のような書類に、署名押印するのが普通です。
しかし、かんたんに書類を受け取ってサインするような、軽率な行動を取ってはいけません。
不具合があってリフォームしたので、その結果を確認してから引き渡しを受けます。
そんなことは説明されるまでもなく、誰でもすると考えそうですが、施工前と見違える結果を目の当たりにして、気が緩んでしまうのもこのタイミングです。
一度引き渡しを受けると完了を認めたことになり、支払いをしなくてはならないため、引き渡しは特に慎重になるべきでしょう。
引き渡し前の完了検査
図面などを見ながら担当者の説明を受けて、依頼内容が完了されているか確認します。
契約通りになっていない、事前の打ち合わせ通りになっていない場合は、何らかの修正工事が入るので、引き渡しを受ける前に指摘します。
また、設備を新しくした場合は、必ずその場で動作チェックをします。
そうしないと、後からの指摘ではクレーム扱いされる可能性もあり、設備の不具合なのか、工事の不具合なのか判明しにくいからです。
引き渡し後に不具合があったとき
新調した設備の不具合は、使用直後なら初期不良も考えられるところで、保証書等があれば、メーカー保証を受けられます。
リフォーム会社がメーカーの指定業者なら、同じ会社が担当することもあります。
その一方で、工事の不具合が見つかった場合、リフォーム会社の対応は様々です。
完了確認をしているので、不具合ではないと言い張る悪徳業者もいれば、契約書に記載の瑕疵担保責任条項に基づいて対応する会社、不具合を確認して責任を認め、全面的に無償対応する会社まで千差万別です。
きちんとしたリフォーム会社なら、登録制のリフォーム瑕疵保険に加入しているので、この点もリフォーム会社選びの1つのポイントになるでしょう。
リフォーム瑕疵保険では、工事完了後の欠陥等は保険を使って直すことができます。
まとめ
リフォームの構想から契約、工事と引き渡しまでは、意外と手間も時間もかかります。
失敗しないリフォームのためには、用意周到な計画と、慎重な業者選定、そして工事完成後まで気が抜けません。
悪質なリフォーム会社による被害は、現在でも後を絶たず、自分が被害者にならないように、気を引き締めてリフォームに臨みましょう。
施主でも対策可能なポイントは業者選びで、金額だけで選ばず、納得できる説明と保証の付いた契約ができる、または保険に加入している業者を選ぶべきです。
結局リフォームをやり直しとなれば、施工はしっかりしていて高いお金を取る会社よりも悪い結果になって、後悔することになってしまいます。