通常屋根のリフォームでは、その形状まで変えることは行わないので、葺き替えを行うかどうかの判断と、その際の屋根材の選択がポイントになります。
必ずしもリフォームが必要ではない場合もあるので、今回は不具合に応じた対処方法も合わせて見ていきます。
リフォームを検討するならリショップナビで見積もりしよう
「リフォームをするかどうか迷っている」「リフォームをするのにいくらかかるか知りたい」そんな方はリフォーム費用を見積もりできる一括査定サイトリショップナビを使って専門家の話を聞くとよいです。屋根リフォームのポイント
最上階の屋根は、通常見ることができないので不具合に気付きにくく、雨漏りがして初めて屋根の補修が必要だと気付く場合も多いです。
劣化は徐々に進むので、雨漏りをする前には次のような不具合が発生しています。
【屋根で起こりやすい不具合】
- 屋根材の割れやズレ
- 漆喰(しっくい)が剥がれている
- コケの付着や色あせ
- サビが目立つ
- 屋根材の浮きや反り
- コーキングの剥がれ
屋根のリフォームには、塗装の塗り替え、屋根材の葺き替え以外に、既存の屋根材に新しい屋根材を重ねる重ね葺き(重ね張り)という方法もあります。
ただし、重ね葺きができるのは、スレート屋根か板金屋根に限られます。
1.屋根材の割れやズレ
古い建築物の瓦が現存していることでもわかるように、瓦は焼き物ですから、衝撃がないのに割れる要素はそれほどありません。
もし割れた場合、瓦にも多くの種類がありますので絶対とは言えませんが、汎用的な形の瓦であれば、単体で交換が可能です。
つまり、割れた部分をその都度交換していけば、リフォームを考えるまでもなく、多くの瓦が割れているか、もしくはスレートや板金に葺き替えるときはリフォームです。
また、瓦のズレのみなら、元の場所に戻すだけでかんたんに直ります。
一方で、スレートは経年劣化により割れてくることがあり、こちらも部分補修は可能だとはいえ、経年劣化ですから全体が近い状態になっているため、葺き替えが無難です。
2.漆喰の剥がれ
瓦屋根には、屋根の面が交差する部分に棟があり、棟にも瓦が使われています。
屋根を覆う瓦と棟の瓦との隙間は、漆喰と呼ばれる接着剤で固められており、この漆喰が経年劣化によって剥がれ落ちると、雨水の侵入に繋がります。
漆喰は概ね10年程度で劣化すると言われ、漆喰が剥がれ落ちることで、固定されない瓦がズレたり、棟が曲がったりする症状が出始めます。
そうなると補修規模も大きくなり、個別補修かリフォームで対応します。
3.コケの付着や色あせ・サビ
釉薬を使っていない表面がザラザラした瓦や、セメント瓦、スレートでは、コケが付着(特に北面)したり、色あせが発生したりします。
また、板金屋根では、傷などで塗装が剥がれると、そこから金属素材がサビます。
これらの不具合は、見た目が良くないだけで、すぐに雨漏りに繋がるほどの不具合ではありません(板金屋根で腐食が激しい場合を除く)。
コケについても、高圧洗浄で落せば、リフォームまでは必要ないでしょう。
しかしながら、古い家で長期間メンテナンスしていないと、これらの不具合以外にも、雨漏りに繋がるような原因を併発していることが多くあります。
すべてを改善する費用が、葺き替えと近いくらいかかるなら葺き替えするべきです。
4.屋根材の浮きや反り
スレート屋根で良くみられ、下地から剥がれて浮いてしまう、反ってしまう現象です。
また、スレート屋根や板金屋根で、棟に使われている板金部分が、風圧や釘のゆるみなどで浮いてしまう現象もあり、どちらも雨水の浸入を許してしまいます。
部分的な浮きであれば補修工事で対応できますが、塗り替えと一緒に頼むなど、追加で行ってもらうほうが効率よく対応できます。
5.コーキングの剥がれ
屋根は屋根材や板金、釘、金具等を使って作られる以上、必ずどこかに隙間があり、隙間を埋めるコーキング処理が欠かせません。
昼は直射日光で高温になり、風雨にもさらされる箇所なので、屋根のコーキングは劣化が早い傾向もあります。
基本的には剥がれたコーキングを取り除き、新たにコーキングする補修工事ですが、古い家では劣化部分も多く屋根材も傷んでいるようなら、葺き替えでも良いでしょう。
6.屋根材を選ぶポイント
リフォームで葺き替えを考えているなら、どの屋根材が良いか考えるでしょう。
屋根材は大きく分けると、瓦、スレート、板金の3つがあり、それぞれ特徴が違います。
粘土瓦・セメント瓦
粘土を焼いたものと、セメントを固めたものがあり、種類が多く重たいのが特徴です。
その重さゆえに、瓦から瓦への葺き替えは問題ないですが、スレートや板金から瓦に葺き替えると、屋根の重量が増して構造計算が変わるため、安易には葺き替えできません。
耐久性は高く、衝撃による割れを除くと、釉薬を使った陶器瓦は半永久的に、セメント瓦でも30年以上は持つと言われます。
釉薬を使わない瓦では、15年~20年に1回の頻度で塗り替えをします。
また、瓦は重ねて葺き、それぞれの瓦の隙間は通気の役割から埋めません。
したがって、ゆるい勾配の屋根では雨水が隙間から侵入しやすく、ある程度は勾配がないと使えない屋根材なので注意しましょう。
スレート
瓦に比べると強度は落ちますが、軽い屋根材で比較的安いので人気があります。
岩石の一種である天然のスレートは普及しておらず、カラーベストやコロニアルといった、合成スレートの商品名が普及しています。
スレートの耐久性は、工業技術の向上と共に上がっており、10年~15年に1回は塗装を塗り替え、20年~30年以上は使えます。
工業製品なので品質が安定して種類が多く、価格帯もバラエティに富んでいます。
一般に瓦よりもメンテナンスを必要とするとはいえ、軽いことが普及に繋がり、地震に対する意識が高まった背景もあって、主流の屋根材になっています。
板金
板金屋根(金属屋根)の良さは、屋根材の中で最も軽い点と、加工の容易さです。
一般住宅に見られる平面の屋根はどの屋根材も対応しますが、曲面が入ると金属で対応するしかなくなります。
また、一定サイズを並べて葺く他の屋根材と違い、加工が容易な金属は、屋根の幅一杯の細長い板で葺くことも板を縦に並べて葺くこともできます。
一般には工事費が安く済むのも、板金屋根の大きな魅力の1つでしょう。
最近の板金屋根は、40年持つとも言われるほど耐久性の高い、ガルバリウム鋼板が使われるようになってから、それまでのトタン屋根のイメージが一変しました。
積雪や強風で、瓦屋根に不安を残す地域以外でも、板金屋根の普及が進んでいます。
まとめ
屋根をリフォームするきっかけは、雨漏りや部材の飛散といった、目に見える不具合が起こった時が多いようです。
そこから分かるのは、それを必要とする地域を除けば、普段からこまめなメンテナンスを行っている家庭は少ないという現実です。
屋根は外の環境と遮断する重要な部位であり、やすやすと壊れてしまうものではないにしても、もしものことが緊急事態につながります。
メンテナンスが難しいのであれば、その頻度が少なくて住む屋根素材を選ぶなど、生活や環境に合わせた判断が求められるでしょう。
デザイン性に関しては、外気を断つ重要な役割を持つ部位だけに二の次になりがちですが、昔と比べると選択の幅も広がっています。
自宅でさえ屋根に気を留めて見る機会は少ないものですが、好きな屋根を意識して探してみると、選ぶ楽しさも増すかもしれません。