今、世の中では大量に空き家が増えています。
2019年4月に公表された最新のデータ(2018年の調査)によると、全国の空き家数は846万件でした。(総務省統計局平成30年住宅・土地統計調査)
この846万件という空き家数を、全国の家に占める率で見ると空き家率は13.6%と過去最高の数字です。
空き家率が増えている現状を更に具体的に解説したうえで、空き家の増加によってもたらされる問題、その一方で空き家率のこれ以上の向上を防ぐために行われている対策についてご説明します。
2020年最新の空き家率
空き家に関する調査データは総務省統計局が5年毎に調査し、結果を公開する住宅・土地統計調査で公表されています。
2019年4月に公表された、最新の平成30年住宅・土地統計調査からデータを見てみましょう。
空き家率の最新データ
2018年最新の空き家率は13.6%でした。
この数字は過去最高の数字で、人口減少のはじまりと、未だに続く新築住宅の着工数の維持などを背景に伸び続けています。
5年毎の統計結果公表毎に空き家率が増加しているのが実態です。
ここで、住宅土地統計調査のデータを元に作成した、過去55年間の空き家率の推移グラフを見てみましょう。
1963年(昭和38年)にはわずか2.5%だった空き家率が、調査を追うごとに高くなっていき、直近では5倍以上の数字である13.6%となっています。
空き家率の高騰は、過去にはなかった新しい問題、かつ今大きくなっている問題であることがわかります。
空き家の種類と本当に問題になる空き家とは
ただし、ここでいう”空き家”の全てが問題となるわけではありません。
実は統計で扱われている空き家は更に以下の4つの区分で分類されます。
- 二次的住宅
- 賃貸用の住宅
- 売却用の住宅
- その他の住宅
このうち二次的住宅に関しては別荘などの家をカウントしています。
別荘である以上普段から使うわけではありませんので、別荘が普段空き家状態であることは問題ではありません。
一方でそれ以外の3種類は本来空き家を想定した家ではありません。
特にその他の住宅が増えていく状況は大きな課題です。
本来空き家を想定していない家が空き家になり、そのまま適切な管理が行われずに老朽化していくと後に述べるような問題につながります。
なお、空き家の構成比については以下のように、賃貸用の住宅とその他の住宅が多く、2つを合わせると空き家の90%以上を占めます。
別荘などの二次的住宅を除いた全国の最新の空き家率は12.9%(空き家戸数は808万戸)です。
空き家率の高い都道府県、空き家率の低い都道府県
空き家率や空き家の状況は地域ごとにも違いがあります。
ここで、空き家率の高い都道府県、低い都道府県を見てみましょう。
別荘などの住宅を除いた空き家率を元にしています。
まずは空き家率の高い都道府県からです。
1位は和歌山県で18.8%です。上位10はすべて県ですが、全県において5年前の平成25年よりも空き家率が上昇しているのが特徴的です。
うまく対策ができないと今後も空き家率が高まる可能性の高い県です。
順位 | 都道府県 | 空家率 |
---|---|---|
1位 | 和歌山県 | 18.8% |
2位 | 徳島県 | 18.6% |
3位 | 鹿児島県 | 18.4% |
4位 | 高知県 | 18.3% |
5位 | 愛媛県 | 17.5% |
6位 | 山梨県 | 17.4% |
7位 | 香川県 | 17.4% |
8位 | 山口県 | 17.3% |
9位 | 大分県 | 15.8% |
10位 | 栃木県 | 15.6% |
続いて空き家率の低い地域を見てみましょう。
最も空き家率が低いのは沖縄県、全国の47都道府県の中で唯一1桁の空き家率です。
5位までの都県は5年前と比較して空き家率が低下しているのが特徴です。
空き家対策がうまく言っている状況や人口、世帯数の増加などが気になります。
順位 | 都道府県 | 空家率 |
---|---|---|
1位 | 沖縄県 | 9.7% |
2位 | 埼玉県 | 10.0% |
3位 | 神奈川県 | 10.3% |
4位 | 東京都 | 10.4% |
5位 | 愛知県 | 11.0% |
6位 | 宮城県 | 11.5% |
7位 | 山形県 | 11.6% |
8位 | 千葉県 | 11.8% |
9位 | 滋賀県 | 11.9% |
10位 | 京都府 | 12.3% |
なお、これはあくまで空き家率のランキングです。
空き家数で見ると東京都が1位、大阪府が2位です。各都道府県での空き家率の差よりも、住戸数の差が大きいため、結果的に住戸数の多い東京や大阪が空き家数では上位となっています。
東京や大阪などの空き家は、一定の需要があるため空き家として放置するより、売ったり貸したりする方が収益も見込めてお得でしょう。空き家の売却を考える場合には、不動産一括査定を利用して、いま家はいくらなのか確認するのが第一です。東京や大阪など都心であれば、大手6社のみの査定としている「すまいValue」の利用をおすすめします。
運営会社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング | |
---|---|---|
運営開始時期 | 2001年11月 | |
対象エリア | 全国 | |
累計利用者数 | 700万人 | |
提携会社数 | 1,300社 | |
同時依頼社数 | 6社 |
空き家と言えど土地は資産であり、貸すことで固定資産税を支払えるだけの収益を得られる可能性もあります。空き家や土地の活用を考える場合には、土地に合った活用方法や収益プランを考えていきます。ですが、自分だけではどのような活用方法が土地に合うか、利回りなど収益プランはどのように計算するのか難しいものです。
そのような方には、「「土地活用の無料プラン比較【HOME4U】」の利用をおすすめします。契約するまでは無料で相談できますし、企業によっては実地調査をして具体的な収益プランを試算してくれます。まずは、簡単な入力をして土地活用プランを取り寄せましょう。
運営会社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング | |
---|---|---|
運営開始時期 | 2001年11月 | |
対象エリア | 全国 | |
累計利用者数 | 700万人 | |
提携会社数 | 50社 |
空き家率の今後の推移予測と見込み
今後の空き家率については様々な見込みが出されていますが、共通しているのは今後空き家率は増加するだろうという点です。
今も住宅の新築着工数は多少減っているとは言え、今でも年間90万件を超えています。
(国土交通省 平成30年 建築着工統計調査報告)
一方で人口減少に続き、世帯数も今後減少していく見込みの中、空き家が増えることは必然的です。
野村総合研究所からは2019年から14年後の2033年には空き家率は今の倍以上、30%を超えるという予測も出ています。
実際は野村総合研究所の予測では2018年段階で16%以上の空き家率になる見込みであった所、蓋を開けてみたら13.6%と5年前からは微増にとどまっていたので、この予測ほど空き家が増加するかどうかは定かではありません。
ただし、今後空き家が増加し、空き家率が高まっていくことはかなり確実性の高い未来です。
運営会社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング | |
---|---|---|
運営開始時期 | 2001年11月 | |
対象エリア | 全国 | |
累計利用者数 | 700万人 | |
提携会社数 | 1,300社 | |
同時依頼社数 | 6社 |
空き家率の増加に伴う空き家問題
では、空き家が増加するとどのような問題があるのでしょうか。
空き家の持ち主にとって、維持費だけがかかったり、近隣トラブルの種になったり、という点はもちろんあります。
更に加えて、空き家が増加すると社会全体でも、以下のような問題を抱えることになります。
- 老朽化した空き家の周辺環境や住民への悪影響
- 空き家をきっかけにした犯罪の増加
- 住宅市場の需給バランス悪化
空き家は住んでいる家以上に老朽化が早く、また適切に管理されづらいため、倒壊などの危険が高まる他、庭の草木が隣家に侵入したり、ゴミが放置されて景観を損ねたり、悪臭が発生したりなどの問題があります。
日本全国で「空き家問題」として、放置された空き家のリスクを耳にするようになりました。人口減少が進み、世帯減少時代に突入し、空き家の数はどんどん増えて社会問題化しています。2018年の総務省による住宅・土地統計調査(総務省統計局)では[…]
また、居住者がいないことがわかってしまうと不法侵入や勝手な居住に繋がります。
犯罪者の隠れ家や逃げ場所になってしまっては大きな問題です。
また、空き家は放火の対象にもなりやすく、大きな犯罪に巻き込まれる可能性もあります。
更には、空き家だけに関わるものではありませんが、住宅の購入や賃貸ニーズに対して供給が過剰になった場合、住宅の供給過多になり、資産価値が下落する懸念があります。
空き家問題についてのより具体的な情報は以下の記事もご参照下さい。
空き家問題は都市部も含めた日本の大きな問題です。空き家対策特別措置法が施行された後、初めて行政によって取り壊しが行われたのも、神奈川県横須賀市の空き家でした。大きな原因は人口減少です。一方で新築の着工数は引き続き多く、空き家は増[…]
空き家率の増加を防ぐ取り組みと空き家対策特措法
空き家の増加に対しては地方自治体に加え、国も力を入れています。
平成27年に制定された空き家対策特別措置法も空き家対策の一貫です。
空き家対策特別措置法の制定により、適切に管理されていない空き家に対して、地方自治体が住宅用地の特例を解除し固定資産税を高くする(もともと住宅用地に適用されている特例を無効化する)、改善の指導をしても状況が改善しないときには、持ち主の許可なく空き家を解体する、などの対応ができるようになりました。
空き家対策特別措置法については、以下の記事で更に詳細に記載しています。
平成27年2月26日から空き家対策特別措置法(空き家法)が施行されました。空き家対策特別措置法は現在空き家を所有している人や、相続などで今後空き家を所有する人に影響の大きな法律です。知らないとトラブルになったり、固定資産税率が急に6[…]
この通称空き家法の制定に合わせ、空き家解体への補助金など、各地方自治体で空き家対策の施策が進んでおり、空き家率の向上につながる取り組みとして期待されています。
また、空き家バンクの制定など、空き家の活用を促進するアクションも進んでいます。
これらの空き家対策が有効に機能すれば、空き家率の上昇を抑えたり、空き家問題の対策ができたり、という効果が期待できます。
空き家を活用して、固定資産税や維持管理費を払うだけの「マイナスの資産」である空き家をどうにかしたい...空き家に投資して空き家問題を解決しつつビジネスにしたい...そのような想いから、空き家を有効活用するアイデアにはどのようなも[…]
予測されている30%の空き家率を防ぐ一手ともなるでしょう。
運営会社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング | |
---|---|---|
運営開始時期 | 2001年11月 | |
対象エリア | 全国 | |
累計利用者数 | 700万人 | |
提携会社数 | 50社 |