立地が良かったり、建物に問題がないのに周辺の家より販売価格が安いという物件に出会ったことはありませんか?
実は任意売却物件かもしれません。なぜほかの物件と比べて安いのか、任意売却物件を購入しても問題ないのか、この記事では任意売却物件を購入するメリットやデメリットなどを解説していきます。
この記事を読んで、任意売却物件の購入はアリなのか検討できるようになりましょう。
任意売却とは何か
仲介物件、買取物件、販売している不動産はさまざまで任意売却物件もその1つです。では、任意売却物件とはほかの売却物件とは何が違うのでしょうか。
任意売却とは1つの販売方法
物件を売却する際、抵当権がついたままでは家は売れないため、売主はローンの残金を一括で支払わないといけません。そのため、多く人は家の売却金でローンを返済し、足りない場合は自己資金を足すなどして債権者(金融機関など)に支払います。
しかし、自己資金を足してローンを返済できなかったり、そもそも毎月のローンの支払いが困難になっており、ローンの支払いを滞納してしまっている場合、家を売却することができません。家を売却できなければローンを返済できないのに、ローンを返済できなければ家を売れない…。
そんな時に行うのが任意売却です。任意売却は債権者(金融機関など)に家を売って得た売却金でローンを返済する。残債(ローンの残り)がある場合は、毎月定額を支払い返済する。という約束のもと債権者に抵当権を外してもらい家を売却するのです。
なぜ任意売却物件は安いの?
一般的な仲介売却で家売る場合は売主が販売価格を決めますが、任意売却の場合は債権者が価格を設定します。
債権者は確実にローンを回収したいので、販売価格を確実に売れる価格に設定します。そのため、通常の中古住宅よりも安い価格で販売されるのです。
また、後ほど詳しく説明しますが、任意売却を利用する多くは毎月のローンの支払いが難しくなった人達です。家を購入した後に発見した不備の修繕を売主に請求できる瑕疵担保責任を負うことが難しく、販売の際には免責になっているでしょう。そのようなデメリットがあるということもあり、通常の中古住宅より安いのです。
任意売却物件を購入する際のメリット
任意売却物件は、一般的に不動産市場で販売されている物件とどう違うのでしょう。また、任意売却物件を購入するメリットには、どのようなものがあるのか解説します。
一般的な売却不動産よりも安価
任意売却物件は、一般的に不動産市場で販売されている物件よりも、比較的安い価格であることが一番のメリットとして挙げられます。その理由としては、競売にかけると裁判所を通す必要があるため、複雑な手続きに加えて、費用もかかることが挙げられます。
よって競売にかける前に、任意売却物件として売り出し、できるだけ早く債務を返済したいと考える債務者が多いです。そのため、一般的に不動産市場で販売されている類似物件よりも、安い価格で売りに出されていると考えられています。
思いもよらない優良物件を引き当てることも
任意売却で住宅が販売できる期間は、平均で3~6カ月程度だと言われています。任意売却には期間が定められていますが、住宅ローンを借り入れている金融機関から、任意売却として販売しても良いと認められる期間が、決められているためです。
そのため、任意売却になった経緯によっては、優良な物件を引き当て得るケースもあります。ただし、このような強運に恵まれることは、非常にタイミングが良いレアケースであると言えるでしょう。
投資上級者ならお得に運営することも
近年は投資の一環として、不動産投資が活発化しています。ただし、不動産投資についての知識がないと、不動産投資で破綻してしまうケースもあるため、素人が安易に手を出して良いものではありません。
しかし、任意売却物件は、投資上級者であればお得に運営することもできます。メリットとしては、投資物件が安く手に入るだけでなく、リスクも少ないことが挙げられます。
[ad-sumai]任意売却物件を購入する際のデメリット
任意売却物件は、一般的に不動産市場で販売されている物件よりも、比較的安い価格で購入できるなどのメリットがありますが、以下のようなデメリットもあるので注意が必要です。
物件の整備にコストがかかる場合が
任意売却物件は、販売期間が限定されているということもあり、一般的な不動産市場での売却よりも、慌ただしいものになると言えます。そのため、物件に目立つ傷や汚れがあってもそのまま売却されるため、物件そのものの修繕コストがかかるケースがあることが、デメリットとして挙げられます。
また、一般的な不動産市場での売買では、購入後に物件の欠陥が見つかった場合には、売主が瑕疵(かし)担保責任に問われるケースもあります。
しかし、任意売却物件に関しては、瑕疵(かし)担保責任が免責になります。そのため、物件を購入したあとで瑕疵が見つかったとしたら、買主が修繕費を負担しなければならないことは、あらかじめ心得ておく必要があります。
売買成立までに時間がかかりやすい
任意売却物件は販売期間が限定されており、債務者もできるだけ早く売却したい傾向にあります。しかし、債務者と債権者である金融機関の双方が、住宅ローンを完済することを前提に売却を進めていきます。
そのため、即決で購入を決めたとしても、すぐに売買成立とはならないケースもあり、売買成立までに時間がかかりやすいことがデメリットとして挙げられます。債務者と債権者の双方が、住宅ローンの残債が残らない形での売却を望んでいるため、債務者との交渉が長引きやすいことが考えられます。
税金・管理費への注意も必要
税制上、毎年1月1日時点での不動産所有者に対しては、固定資産税や都市計画税の納税義務が生じます。また、マンションにおいては、毎月管理費や修繕積立金を支払う必要があります。
しかし、任意売却物件の所有者は、住宅ローンの返済が難しくなるなど、経済的に困窮した状態であるため、税金や管理費などを滞納しているケースも少なくありません。
そのため、税金については各自治体の税務署が、差し押さえの解除をするまで、また管理費や修繕積立金に関しては、遅延損害金が準備できるまでは売却できません。よって、場合によっては購入できないケースもあるということも、想定しておくようにしましょう。
提示されている額以上の価格交渉はほぼ無理
一般的な不動産の売買では、販売価格から値引き交渉によって、値引きしてもらえる可能性もあり、値引き交渉が頻繁に行われています。しかし、任意売却物件の場合は、任意売却自体が住宅ローンの返済のための手段の一つであるため、提示されている価格から値引きされることは難しいでしょう。
また任意売却物件は、債務者と債権者の双方が協議して決定した価格であるため、これ以上の値引きをすると、住宅ローンの返済計画に影響を及ぼすので、現実的とは言えません。
決済前に取引中止となるリスクも
一般的な不動産の売買では、売買契約書を交わしたあとに、売り手と買い手のどちらかが、正当な理由もなくキャンセルした場合、違約金の支払いが生じます。そのため、売買契約書を交わすことで、売り手と買い手の双方が安心し、あとは決済と引き渡しを迎えるだけという流れになります。
しかし任意売却物件は、住宅ローン以外の借金があった場合、他の債務者から住宅を差し押さえられてしまう可能性があります。そのため、決済前に取引中止になるリスクがあることが、デメリットとして挙げられます。
また、経済的な事情が招いた結果の任意売却とは言え、売り手の急な心変わりで、取引中止になるケースもあります。なお、手付金を払っていた場合でも、売り手が経済的に困窮した状態であると考えられることから、返金にも時間がかかる可能性もあるので、注意が必要です。
任意売却物件のデメリット対処法とは
すべてのデメリットをなくすことはできませんが、回避したり影響を少なくできる場合があります。任意売却物件を購入する際に、できることはないか検討してみましょう。
物件の不備にはホームインスペクションをする
売主の事情から瑕疵担保責任が免責されてしまうことが多いため、購入後に不備が見つかっても、買主が修繕費を負担しなくてはなりません。
購入後に修繕箇所が見つかり後悔するのであれば、契約前にホームインスペクションをすると良いでしょう。ホームインスペクションとは住宅の欠陥や劣化状況を第三者の立場から調べてくれる住宅診断のことです。目視で行う比較的簡単なチェックなら約5~6万円程度で、耐用年数はあとどれくらいか修繕にかかるおおよその金額などを教えてくれます。
不動産会社によっては先に済ませておりその結果を知らせてくれる場合もありますが、買主がやることも多く、そのような共有がない場合自身で行っても良いでしょう。
検討の段階で5万円の出費はもったいないと感じるかもしれませんが、実際の修繕になると100万円以上かかることもありますし、先におおよそでも修繕費がわかれば他の住宅と比較検討もしやすいでしょう。
また、修繕箇所が見つかったのなら、ダメ元で価格交渉をしてみるのも良いかもしれません。ローン返済の手段なので債権者が値下げを承諾してくれる可能性は低いですが、タイミングなどによっては多少の値引きなら応じてもらえるかもしれません。
契約までにかかる時間を短くするには希望日を伝える
任意売却物件の債権者は物件を担保にお金を貸しているところとなり、債権者が1人ではないこともあります。
複数人いる場合は債権者全員に販売の許可を得なくてはなりません。債権者が多ければ多いほど契約までに時間がかかります。債権者と交渉をするのは専門業者になるので、買主候補が口を出すことはできません。
買主が時間を短くするためにできることは、物件の担当者にいつまでに契約したいかを伝えておくことでしょう。せっかく現れた買主を専門業者も債権者も逃したくはないはずです。希望日を伝えておくことで、専門業者が債権者に交渉する際の材料の1つになるかもしれません。
任意売却物件の購入時にトラブルを回避する注意点6つ
不安点が多い任意売却物件ですが、中には状態のいいものや買主の条件に当てはまる物件もあることでしょう。任意売却物件も購入の検討ができるように注意すべき点を解説します。
抵当権の抹消がされているかを確認
任意売却物件を購入する際には、抵当権が抹消されていることを確認することが大切です。抵当権の抹消は、住宅ローンを完済した時点で行われることが一般的です。
しかし、任意売却物件の場合は、購入の交渉を進めていく中で、抹消されることが多いです。そのため、抵当権が抹消されていることが、任意売却物件を購入するうえでの、最低限必須の確認事項だと覚えておきましょう。
扱っている業者が信頼できるかどうか
任意売却物件に関する確認事項や、注意点を知っていても、業者が詐欺目的であれば目も当てられません。そのため、まずは業者の信頼性の確認をすることが大切です。
任意売却物件を売却した実績があるのか、任意売却に関連する団体に所属しているか、評判はあるのかなどを調べておきましょう。
また、建物の売買や販売の代理を行うには、宅地建物取引業の免許を国土交通省か都道府県知事からもらわなくては営業ができません。都道府県の場合は各所によって異なりますが、「都道府県名 宅建業者」などで検索してみると良いでしょう。国土交通省の場合は建築業者・宅建業者等企業情報検索システム|国土交通省で業者を検索できます。
住宅ローン以外の滞納や借金がないか確認
任意売却物件を購入する際には、売り手に住宅ローン以外の滞納や借金がないかを、確認しておくようにしましょう。任意売却物件を購入するにあたり、住宅ローンの債権者の同意が取れていても、他に借金があった場合には、他の業者に物件を競売にかけられてしまう可能性があります。
しかし住宅ローン以外に、滞納や借金がないかを確認することは難しいため、売り手の人柄などを確認したうえで、怪しいと感じた場合は、購入に踏み切らないことをおすすめします。
手付金など費用を売却者・債務者に渡さない
一般的な不動産の売買では、売買契約書を交わす際に、売却価格の一部である手付金を支払い、残金は決済時に支払うことが一般的です。しかし、任意売却物件の場合は、手付金の持ち逃げなどが起こらないように、売り手に直接渡さないように注意する必要があります。
このようなリスクを回避するためには、仲介業者に手付金を渡すようにすると良いでしょう。
物件の確認を怠らない
任意売却物件を購入する際には、一般的な不動産の売買と同様に内覧を行い、実際の物件を自分の目で確認することを怠らないようにしましょう。これはごく初歩的な注意点ですが、書面や話の内容だけで購入を決めることなく、最初にしっかりと物件の確認を行うことが大切です。
また、一般的な不動産の売買でも大切なことですが、新耐震基準を満たしていることや、近隣住人とのトラブルが頻発しているエリアではないなど、実際に居住することをイメージしながら、物件に関して確認しておくようにしましょう。
任意売却物件を購入する際の流れ
任意売却物件といっても、購入する側はほとんどの手順は変わりません。購入の流れは以下のようになります。
1:物件を見つける
2:物件を取り扱っている専門業者(不動産会社)に問い合わせる
3:日程を決め、物件の内覧をさせてもらう
4:購入するか検討
5:引渡日などさまざまな条件の交渉
6:債権者に専門業者が確認・交渉
7:買い付け証書提出
8:売買契約を結ぶ
9:物件引き渡し
一般的な中古住宅売買と異なるのは債権者に確認・交渉行うところです。この時債権者に納得してもらえないと購入までに時間がかかってしまいます。
もし、ホームインスペクションを行うのであれば、4:購入するか検討する段階がいいでしょう。条件交渉の段階でも可能ですが、交渉する際に
は購入の意志を決定しておかないと、せっかく長い時間かけて交渉をしたのに水の泡となってしまうこともあり、売主も買主も時間無駄にしてしまうので、気をつけましょう。
任意売却物件の探し方
任意売却物件は一般的な中古住宅を販売している物件情報サイトでも検索することができます。その場合はサイト内のフリーワード検索で「任意売却」を打って検索してみましょう。
大きく表示されていませんが、任意売却物件の場合は備考欄などに「任意売却の為瑕疵担保免責・現況引き渡し」という旨が書いてあります。
そのほか、任意売却物件を扱う物件紹介サイトもあります。任意売却をする売主は周囲に知られたくないという思いから、一般の中古住宅のように大体的に情報を公開しない物件もあります。任意売却専門の物件紹介サイトの場合、会員登録をし希望の条件を伝えることで、物件を紹介してもらえることも多いので、その場合は問い合わせてみても良いでしょう。
以下は任意売却専門サイトをいくつかピックアップしてみました。
任売市場
2013年にスタート首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)のエリアを対象。一部物件はサイト上で公開されており、マンションや戸建てなど住宅別に検索することも可能です。
http://ninbai-ichiba.com/index.html
エクセルホーム株式会社
任意売却物件の仲介を行う不動産会社。任意売却のサポートをし、販売も行っています。大阪、兵庫、京都などを中心に奈良や和歌山など関西圏の物件を扱っています。
任意売却物件を購入する費用について
任意売却物件を購入する場合、住宅ローンの審査が厳しくなるなど、一般的な不動産の購入と異なる点がいくつかあります。
住宅ローンは可能・ただし審査が厳しくなる可能性が
任意売却物件を購入する場合、一般的な不動産の購入と同様に、基本的には住宅ローンを申請することはできます。しかし、任意売却となってしまった前例があることから、住宅ローンの審査が厳しめになる可能性があるので、注意が必要です。
そのため住宅ローンの審査には、通常よりも時間を要するケースもあるため、早めに申請しておくようにしましょう。
購入費用の項目は一部特殊項目の可能性も
任意売却物件を購入する場合、債務者との交渉などがありますが、基本的には一般的な不動産の購入と、費用はほとんど変わりません。具体的には、売買契約書に貼付する印紙税や不動産取得税、登録免許税などの税金に加えて、仲介手数料や住宅ローンを組んだ場合には、事務手数料などがかかります。
ただし例外的に、売り手の引っ越し費用を請求されるケースもありますが、全ては交渉次第であるため、そこまでの費用を負担する必要はありません。
任意売却物件のよくある質問
住宅を購入する経験だって少ないのに、任意売却物件なんて言葉を初めて聞いたなんて方も多いでしょう。ここでは任意売却物件を購入する際に出る疑問点をいくつか解説します。
Q:どんな人が任意売却するの?
前段でもお話しましたが、多くの任意売却者はローンを滞納してしまった人達です。次に多いのは離婚による任意売却です。夫名義のローンで連帯保証人が妻になっている場合などで、今すぐローンを精算したいために任意売却で物件を手放すようです。
また、個人住宅の他にも不動産投資用に購入したアパートやマンションを任意売却する場合もあります。アパート用のローンを借りたが空室が埋まらない、遠方の土地に建ててしまったため、管理ができず手放したいといった理由で任意売却を行うこともあるそうです。
Q:購入金額の内訳に引っ越し費用が入っているのはなぜ?
任意売却物件を売って得た金額はローン返済や滞納している税金の支払いなどに回され、すべてを支払いきってお金が余らない限り、売主(債務者)の懐に入ることはありません。
そうなると、売主によっては引っ越し費用が支払えず、家を引き渡すことができない状態になってしまうことがあります。そのため、専門業者は債権者と交渉し、売却額のなかから一部を引っ越し費用とするのです。
買主からして気になることは、引っ越し費用分上乗せされているのではないかという点でしょう。物件の売却額はその物件の市場価格から債権者の納得できる金額で決めていきます。あくまでも売却金額のなかから引くということなので、その分上乗せされていることはないでしょう。
Q:任意売却物件は事故物件なの?
事故物件ではありません。事故物件とは火災や死亡事故などがあった物件のことを指します。任意売却物件はローンの滞納はあれど、そのような事件が起きている物件ではありません。
任意売却の理由を聞き不安になってしまった場合は、内見の際に一室だけきれいになっているなど、不自然なリフォームがされていないか確認しましょう。また、事故物件ではないかWebサイトなどを使って調べてみるのも手です。
ただし、公式で発表しているWebサイトはないので、参考程度にしかならないことを把握しておきましょう。
任意売却物件を購入するなら信頼できる業者探しを
任意売却物件を購入する場合、一般的な不動産の購入と比較すると安い価格で購入でき、思いもよらない優良物件に出会える可能性があります。しかし、決済前に取引中止になったり、手付金を持ち逃げされたりなどいのリスクもあるので、注意が必要です。
そのため、任意売却物件を購入する際には、信頼できる不動産業者を見つけることが大切です。信頼できる不動産業者探しは、インターネット上の口コミや評判で確認できます。また、一括査定サイトなどを活用して優良な業者を見つける方法もあるので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
運営会社 | 株式会社LIFULL | |
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運営開始時期 | 2014年 | |
対象エリア | 全国 | |
累計利用者数 | 612万人 | |
提携会社数 | 約1,700社 | |
同時依頼社数 | 6社 |