不動産の売却益が発生した際の税金と節税方法をわかりやすく解説

自分の不動産を売却する時に、売却益(利益)が出た場合はその金額がそのまま自分のものになるわけではありません。
売却益に対しては譲渡所得税という税金がかかります。

実際に

「家を売った時の税金はいくらくらい?どうやって計算するの?」
「家が値上がりしていて売却するとお金が入りそう。その場合の手取りと税金を知りたい」
「税金が高くなりそう。少しでも安くする方法はないの?」

などと疑問に思ったり、考えたりされる方も多いでしょう。

今回はそのような方が、自分の家や土地を売った際に、

  • 売却益はいくら位になるのか
  • その場合の税金はいくらになるのか
  • 税金を少しでも安くする方法はないか

というような点を、計算方法もまじえながらわかりやすく解説していきます。

どのサイトよりもわかりやすく記載しました。ぜひご覧ください。

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まずは具体例で不動産の売却益を計算してイメージを掴む

不動産の売却益の計算方法は少々複雑です。
計算のルールを具体的に見ていくと多くの言葉が登場して、少しわかりづらくなります。
最初に具体例を元に計算することで、イメージを持ち、そのあとでルールを1つずつ解説していかれるようにしましょう。

購入した土地を売却した場合の売却益の計算例

まずはイメージを掴むためにシンプルな例で計算しましょう。
後ほどご説明するように家の場合は減価償却というものが絡んでやや複雑になります。
ここでは土地の売却について考えます。

設定は以下のとおりです。

  • 土地を3,000万円で購入した
  • 売却した所、値上がりしており4,000万円で売れた
  • 各種経費で500万円がかかった

という事例の場合、売却益は

事例の売却益の計算

4,000万円(売れた価格)- 3,000万円(購入金額) – 500万円(かかった経費) = 500万円(これが売却益)

となります。
それではこの意味がわかり、自分でも計算できるように具体的に解説していきましょう。

売却益の計算方法は「売却価格−取得費−各種経費−特別控除」

まず最初に不動産売却益の計算方法を確認しましょう。

不動産売却益計算の公式

不動産売却益 = 売却価格 – 取得費 – 各種経費 – 特別控除

です。
ここから1つずつの項目の説明をしていきます。
全てが終わるころには、この公式がしっかりわかるようになります。

売却益とは不動産売却のときに得られた利益

まずは、「売却益とはなにか」を確認しましょう。

売却益とは、不動産売却時に儲かった利益のことです。
ただし、単に不動産を売却した金額そのものではありません。

不動産を購入したときにかかった費用(建物の場合には減価償却の分を差し引く)と諸経費、住居用の場合は特別控除などを差し引いた利益です。

売却益は別名を「譲渡所得」と言います。

売却価格とは実際に不動産が売れた金額

売却価格の考え方は非常にシンプルです。
こちらは実際に家や土地などの不動産が売れた場合の金額です。
売却益を「譲渡所得」というのと同様、この売却価格も「譲渡価額」ということがあります。

不動産売買契約が締結された際に決まった金額ですので、契約書上に記載されています。

取得費とは購入時費用から減価償却費を引いた金額

取得費は売却価格と比較して複雑です。
取得費を更に分割すると3つの費用に別分かれます。

取得費を構成する3つの費用
  • 不動産の購入金額
  • 不動産購入時に掛かった諸経費
  • 減価償却費

それではこの3つを1つずつ順番に見ていきましょう。

不動産の購入金額とは何か

購入金額は売却価格と同様にシンプルでその家や土地を購入した際の、不動産そのものの値段です。
購入契約時に決まる金額で、これも購入時の契約書面に記載された金額です。

取得費に入れられる経費は何か

あとで見るように売却益には税金がかかります。
そして税金は売却益が多いほど多くかかります。

一方で取得費が増えるほど売却益は減り、支払う税金は安く済みます
取得費として計算できる経費は何なのかを把握して、税金を払いすぎないようにしましょう。

取得費に何が含まれるかについては、国税庁のタックスアンサー「取得費」のコーナーで具体的に説明されています。

例えば代表的なものとして挙げられているものは

  • 土地や建物の購入代金
  • 家の建築代金
  • 購入時の仲介手数料
  • 設備費
  • リノベーション・改良費

などです。

それ以外にも

  • 購入時に掛かった税金
  • 借り主に売却に際して立ち退いてもらうために払った費用
  • 土地の造成費や測量費
  • 所有権確保のための訴訟費用

などが例として挙げられています。

また、相続で土地や家を手に入れた際に支払った相続税も取得費に参入できる特例があります。
こちらも国税庁のサイトで紹介されています。

サイト内でもご説明しています。

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土地や家の売却にかかる税金

実際に取得費として申請するには、そのお金を払ったという証拠が必要になりますので、支払いの領収書や証明書は必ず手元に残しておくようにしましょう。

減価償却とは徐々に減っていく建物の価値を計算に含めるもの

次に減価償却に関してです。
建物は時間が経つと徐々にその価値が下がっていき、最終的にはゼロになります。
この価値の減損を計算して織り込むのが、減価償却という考え方です。

減価償却の計算方法には、定率法定額法があり、建物の耐用年数によって、それぞれ数値を割り出します。
基本的には定額法を使います。

耐用年数については、建築基準法などが変わるごとに見直されているので、それぞれ該当するものを調べましょう。

ちなみに木造家屋は22年、鉄筋コンクリートマンションは47年です。

建物は売却時までに減価償却で価値が失われているため、減価償却費相当額を差し引かなくてはなりません 。

非事業用資産(居住用住宅)の減価償却費相当額は、次の計算式で求めます。

取得費×0.9×耐用年数の1.5倍に対応する償却率×経過年数

耐用年数とは、法律で定められた建物が利用に耐えると仮定された年数で、建物の構造によって異なります。

償却率とは、建物を1年利用したときに価値が減少する割合で、経過年数を掛けることにより、経過年数に応じた減価償却率を求めることができます。

耐用年数を1.5倍した値と、対応する償却率は次の通りです。

建物の構造耐用年数の1.5倍償却率
木造33年0.031
木骨モルタル造30年0.034
金属造(3mm以下)28年0.036
金属造(3mm超4mm以下)40年0.025
金属造(4mm超)51年0.020
れんが造・石造・ブロック造57年0.018
SRC造・RC造70年0.015

※金属造の()内は骨格材の肉厚
※SRC造=鉄筋鉄骨コンクリート造、RC造=鉄筋コンクリート造

減価償却については、国税庁タックスアンサーの減価償却の計算方法のページにも説明があります。

なお、取得費がわからない場合には、売却価格の5%とします。

売却時に掛かった諸経費も売却益から引くことができる

購入時と同様、売却時に掛かった諸経費も費用として引くことが出来ます
つまりその分税負担を軽くできるのです。

売却時にかかる主な費用としては、

  • 売却時の仲介手数料
  • 引越し費用
  • 抵当権抹消登記費用
  • 印紙税

などです。
後ほど説明する印紙税として支払う費用も費用として経費にすることが出来ます。
これらを計上した分、譲渡所得税を小さくすることが出来ます。

特別控除とは、条件を満たすと課税譲渡所得を減らせる金額

最後に特別控除についてご説明します。
特定の条件を満たした場合は取得費の他に、特別控除という形で、売却益から金額を減らすことが出来ます
売却益が減るということは、支払う税金(譲渡所得税)が減る、節税できるということです。
制度を正しく理解して、上手に活用しましょう。

2019年5月現在有効な特別控除について、国税庁のサイトから引用します。

(1) 公共事業などのために土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
(2) マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例
(3) 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
(4) 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
(5) 平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例
(6) 農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例

なお、複数の条件に該当する場合は、特別控除は合わせて利用することが可能です。
ただし、特別控除の合計額の上限は5,000万円と決まっており、それ以上の控除は受けられません。
ご留意ください。

売却益がある場合の譲渡所得税の計算方法を解説

売却益(譲渡所得)には譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税というと1つの税金のようですが、実際には、譲渡所得(売却益)に対して、以下の3つの税金がかかっています。

  • 所得税
  • 復興特別所得税
  • 住民税

このうち、所得税と住民税は土地を所有している期間が短期か長期か、具体的には5年を超えるかどうかで税額が異なります

詳細は1つずつ解説しますが、先に全体像をまとめると以下のとおりです。

保有期間所得税復興特別所得税住民税合計
短期保有15%所得税率*2.1%5%20.315%
長期保有30%所得税率*2.1%9%39.63%

長期保有と短期保有で異なる所得税率と計算方法

前段で説明した通り、土地を保有していた期間に応じて税額が変わります
土地を長期保有していた、とみなされるのは、土地を購入や相続などで取得したあと、1月1日の経過回数が5回を超えた場合です。

5回を超えた場合の所得を「長期譲渡所得」とそれ未満の所得を「短期譲渡所得」と呼び、それぞれ税額が異なります。

また現在は通常の所得税に加え、復興特別所得税が所得税率に対して2.1%をかけた分加算されます。

まとめると、計算方法は以下のようになります。

土地売却時の所得税率

長期譲渡所得の場合:所得税率15%*復興特別所得税率2.1%=15.315%

短期譲渡所得の場合:所得税率30%*復興特別所得税率2.1%=30.63%

住民税率も保有期間によって5%か9%かが変わる

短期保有と長期保有によって住民税の税率も変わります。
短期と長期の判断基準は所得税と同様です。

土地売却時の住民税率

長期譲渡所得の場合:5%

短期譲渡所得の場合:9%

税金の計算はこちらの記事でも詳細に行っています。
更に具体的に実例を把握したい場合はこちらを御覧ください。

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土地や家の売却にかかる税金

譲渡所得が無くてもかかる税金「登録免許税」と「印紙税」

それ以外にも不動産売却の際には、税金がかかります。
これらは売却益とは関係なく課税対象となりますのでご注意ください。
具体的には、契約書に印紙を貼り付ける「印紙税」、登記変更の際に必要な「登録免許税」の2つです。

売却価格が高いほど高くなる印紙税

では、印紙税から見ていきましょう。
印紙税は、売却価格によって変わります。
覚えておいていただきたいのは、「売却価格が大きいほど、印紙税も高くなる」という点です。
売却益ではなく、売却価格である点にご注意ください。

こちらは契約の正当性を担保するためのものです。

印紙税は、2020年3月31日まで軽減措置になっており、以下のような税率を、売買契約書2通に張り付けることが必要です。
実際の売却価格と印紙税額の関係性は以下を御覧ください。

売却価格印紙代(印紙税額)
100万円超え500万円以下1,000円
500万円超え1,000万円以下5,000円
1,000万円超え5,000万円以下10,000円
5,000万円超え1億円以下30,000円
1億円超え5億円以下60,000円
5億円超え10億円以下16万円
10億円超え50億円以下32万円
50億円超え48万円

参考:国税庁印紙税額一覧表

買主負担になることが多い登録免許税

不動産売却の際には、所有権の移転登記などが必要です。
なお、所有権移転の登記は、売主側が負担をするケースは少ないです。
基本的に、買い主側が登記変更手続きを行うことが一般的なので、買主負担になるのが通例です。

抵当権の抹消登記などがある場合は売主が負担するケースが多いです。
登録免許税の計算は複雑なので、司法書士に依頼するのが一般的なケースです。
その場合、登録免許税に加え、司法書士への依頼報酬も合わせて支払うことになります。

かかる税金を節税するためには特例や控除を理解して使う

かかる税金を節税するためには、どうすれば良いのでしょうか?
いくつか税金を減らせる特例があるのでそれを利用することがポイントです。
特例については、知らないと適応されないので、正しく理解しましょう。

転居先の購入代金も「買い替えの特例」として加味する

マイホームを購入して転居する場合には、「買い替えの特例」と言って、転居先の購入代金を引き、税率をかける方法があります。

例えば売却益が3,000万円で、3年以内に2,000万円で新たにマイホームを買った場合には、1,000万円に税率をかける方法です。

大抵の場合には、マイホーム特例3,000万円が適用になるケースが多いので、このケースを用いることはあまりありません。

ただし、金額が大きいようなケースでは、転居先の金額から引いたほうが多くなることがあるので、ときと場合により利用したい方法です。

節税方法は、不動産会社と相談するとメリットが大きく、物件の築年数や社会環境によっても変化するので、専門家に頼むと良いです。

ぜひ税理士や不動産会社など、信頼できる相談相手を見つけておきましょう。

特例を重複して利用することはできないことに注意する

特別控除で3,000万円を利用した場合には、買い替えの特例は利用できません。

3,000万円特別控除の場合には、軽減税率の適用を併用できます。

その際には、課税所得金額から3,000万円引いたうえで、軽減税率の適用が可能です。

実際には、買い替えの場合と2択になるので注意しましょう。毎年税制が変わるので覚えておきたいです。

とくに特例に関しては、頻繁に社会状況などによって変わります。

国税庁HPにて確認できます。

不動産取引の際には、常に有利な特例が利用できないか調べておきましょう。

確定申告を忘れず行おう

不動産の売買を行った次の年の確定申告は、必ず行わなければなりません。

その理由と手続きの時期などを見ておき、しっかりと押さえておきましょう。

不動産売却時の確定申告は自分で行わなければならない

確定申告は、基本自分で行う必要があります。

税理士に任せる方法もありますが、その際には10万円ほどの費用が掛かることもあります。

会社での年末調整とは、不動産は別の扱いになるため、万が一でも忘れてはいけません。

とくに、売却益が出ている場合には、申告漏れや税逃れと判断され、追徴課税を課せられることがあります。

確定申告のやり方も、従来の給与所得の書式の確定申告用紙ではなく、自営業などの人が利用する「B書式」を用いましょう。

初めて確定申告をやる人は、いろいろ税理士や不動産会社に話を聞いてもらうと良いです。

売却後の確定申告のやり方も相談するには、大手の不動産会社に任せてみると良いでしょう。

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確定申告は手続きの時期が決まっている

確定申告は、不動産を譲渡した翌年の2月16日から3月15日までの間に、近くの役所や役場が指定した箇所で行えます。

この期間には、税理士が常駐しています。

したがって、細かいことはその税理士に相談しながら作れるので、初めての人はおすすめです。

確定申告のやり方がわかっている人は、インターネットや「e-Tax」などを利用して、ネットで行うことができます。

不動産売買は、それほど頻繁に行うことはないので、必要書類を持って税理士に相談しながら作成すると良いでしょう。

とくに、買い替えを行ってローン減税などを活用するケースでは、これから最長13年利用することができます。

したがって、一度しっかりと税理士と相談しながら、書類作成をしてみると良いでしょう。

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まずは売却益が出そうか不動産の価格を知っておくべき

売却益が出そうかどうかは、不動産の価格とさまざまな費用とのバランスで決まります

まず一括査定サイトなどを用いて、不動産の価格をチェックしましょう。

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そのうえで、税金がかかるかどうかを計算するようにしたいです。

また建物の場合は、減価償却の理論も頭に入れておかなければなりません。

しかし、古い建物の場合には、購入額の5%であることから、この金額を目安にしてみても良いです。

そこから出た売却益が、マイホームなら3,000万円を下回っていれば控除が受けられるので、売却を進めても良いでしょう。

確定申告はきちんと行い、翌年の収入に反映させるようにしたいものです。

仮に損益が出た場合にも、確定申告を行うと有利になります。

これらのことを整理して、正確に税金を納めるようにしましょう。

売却時以外の税金について、全般的に知りたい方は、こちらも参考にください。

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参考リンク

土地や建物を売ったとき | 国税庁HP

不動産一括査定を使ったら、価格に330万円の差がありました。